どう考えても返済見込みがない「貸付金」にも相続税がかかる?…故人が貸した1億1,000万円のうち〈9割が長年未回収〉も、審判所が「課税」と判断した税務ルールとは【税理士が事例解説】

どう考えても返済見込みがない「貸付金」にも相続税がかかる?…故人が貸した1億1,000万円のうち〈9割が長年未回収〉も、審判所が「課税」と判断した税務ルールとは【税理士が事例解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

故人の財産は、一般的に「相続税」の対象となります。しかし実際には、目に見える財産だけでなく、「貸したけど返ってきていないお金」などといった「貸付金」も課税対象となる場合があることをご存じでしょうか。実際の裁決事例をもとに、「貸付金」の税務上の扱いについてみていきましょう。

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審判所は、未回収の貸付金が「相続財産にあたる」と判断

国税不服審判所は、税務署の主張を全面的に支持しました。

 

まず「消滅時効」の位置づけについては、期間が経過しただけで当然に効力が生じるものではなく、債務者が時効を援用して初めて返済義務が消滅することを確認。つまり、時効期間が過ぎているという事実は「将来援用される可能性がある」というにとどまり、その時点で債権の価値が消滅したとはいえないと判断しました。

 

また、「回収不能または著しく困難」と評価するためには、破産や事業停止など、債務者の経済状態が客観的に破綻していることが明白である必要があると指摘しました。

 

相続開始時点でX社は資産超過かつ営業利益を計上しており、事業も継続していたことから、「回収不能が明らか」とはいえないと判断し、この貸付金は例外扱いには該当せず、原則どおり元本1億円で評価すべきと結論づけました。

 

相続税における財産評価では、「客観的な事実」がすべて

本件は、「実感として回収できない」と「税務上ゼロで評価する」との間に大きな隔たりがあることを示した事例です。

 

ここまで見てきたように、時効は債務者が援用して初めて効力が確定するため、援用がない段階では依然として権利としての価値が認められます。また、「回収が困難」と認められるためには単なる長期未回収では足りず、破産や事業停止など、誰が見ても明らかな事情が必要とされます。

 

相続税における財産評価では、主観的な感覚ではなく、客観的な事実がすべてです。判断に迷う財産については、この視点を持つことが、適正な申告につながるといえます。

 

 

高橋 創

税理士

 

 

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