どう考えても返済見込みがない「貸付金」にも相続税がかかる?…故人が貸した1億1,000万円のうち〈9割が長年未回収〉も、審判所が「課税」と判断した税務ルールとは【税理士が事例解説】

どう考えても返済見込みがない「貸付金」にも相続税がかかる?…故人が貸した1億1,000万円のうち〈9割が長年未回収〉も、審判所が「課税」と判断した税務ルールとは【税理士が事例解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

故人の財産は、一般的に「相続税」の対象となります。しかし実際には、目に見える財産だけでなく、「貸したけど返ってきていないお金」などといった「貸付金」も課税対象となる場合があることをご存じでしょうか。実際の裁決事例をもとに、「貸付金」の税務上の扱いについてみていきましょう。

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回収不能だと主張するBさん、回収不能は“例外”だとする税務署

納税者(Bさん)の主張

Bさんは、「この貸付金は実質的に価値を失っているため、評価額はゼロとすべき」と主張しました。商事債権であれば5年で時効が完成し、債務者が時効を援用すれば返済義務は消滅します。したがって、このような債権は実質的に回収不能であり、経済的価値はないとしました。

 

さらに、長年返済が行われていないという事実自体が会社の資金的余力の欠如を示しており、帳簿上は資産超過であっても、実際には返済能力がない可能性が高いと指摘しました。

 

つまり、形式的な数字ではなく実態に即して判断すべきというのがBさんの主張です。

 

税務署の主張

これに対して税務署は、相続税評価の基本ルールに立ち返り、より厳格な基準で判断すべきと主張しました。

 

まず、「回収が不可能または著しく困難」な場合に評価しないという取り扱いは、あくまで例外的な措置であり、単に回収が難しいという程度では認められず、客観的に見て回収不能であることが明白な場合に限られるとしました。

 

また、Bさんの主張に対しては、「消滅時効は債務者(X社)が援用して初めて効力が確定するものであり、期間が経過しただけでは債権は消滅しない」「会社は資産超過で、営業利益も計上しており、経営破綻には至っていない」と反論。この貸付金はなお回収可能性を有しており、ゼロ評価は認められないと主張しました。

 

 

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