会社中心から私生活中心へ
佐藤さんは、それまで残業、休日出勤もいとわなかった働き方をやめ、早く帰り、休むことを意識するように。
「いきなり仕事ゼロになると、たぶん耐えられない。だから少しずつ“会社中心”の生活から抜けていった感じです。自分が頑張らなくても、思ったより会社は回りました。ちょっと悲しかったですが……」
一時期は他人のように希薄になっていた妻との関係も、徐々に改善していきました。そこで、佐藤さんはもうひとつ大きな決断をします。それは、60歳での退職と年金の繰上げ受給です。
「60代前半なら、体力も多少衰える程度でしょう。まだ好奇心もある。“年寄り”になる貴重な5年を、夫婦で楽しみたいと思ったんです」
退職金と貯蓄、運用資産を合わせ、老後資金は約4,500万円強を確保。そのうえで、「年金の繰上げ受給」に踏み切りました。
本来、65歳から受け取れば夫婦で月27万円ほどになる見込みでしたが、5年前倒ししたことで約20万円に。月7万円、年間で約80万円の減額です。
「もちろん迷いましたよ。1年で80万円、10年で800万円も減るんですから。でも、自分が何歳まで元気に動けるのかを考えたら、早くもらっておいた方がいいと思ったんです。先に受け取って手元に余裕を持たせておけば、取り崩しも抑えられるし、運用にも回せる。自分にとっては、そのほうが納得できる選択でした」
