制度改正によって生まれた「新たな仕組み」
本改正では、新たな仕組みも用意されています。
まず、配偶者を亡くした直後の5年間は、有期給付加算によって、給付額が従来の約1.3倍となります。またその後も、年収が132万円を下回るなど一定の条件を満たせば、給付は継続される見込みです。さらに65歳以降は、自身の老齢年金に亡くなった配偶者の厚生年金記録の一部を反映できる制度も設けられます。
当初の数年間で生活を立て直し、その後は必要に応じた支援と年金の上乗せで支える、というイメージです。単純に給付が減るというよりは、「支え方が組み替えられる」と捉えたほうが実態に近いでしょう。
なお、施行は2028年4月ですが、すぐにすべてが切り替わるわけではありません。生活への影響を抑えるため、20年から25年ほどかけて段階的に移行します。また中高齢寡婦加算も、同じく長い期間をかけて縮小されていく予定です。
改正の影響が大きい世代・性別は?
影響が大きいのは、施行時に55歳となる男性、年収850万円以上の女性、そして施行時に40歳となる女性です。なかでも専業主婦やパートで働く人は、将来設計を見直す必要が出てくるかもしれません。
これまでのように、配偶者に万一のことがあれば生涯にわたって生活が支えられるという前提は崩れ、支援は原則として5年間に限られます。その後は自分の収入で生活を維持することが求められるため、結婚や出産でキャリアを中断しない働き方が現実的な選択肢になっていくでしょう。
こうした変化を踏まえると、家計の守り方も見直さざるを得ません。公的年金で足りない部分を補う役割として、生命保険がこれまで以上に重要になります。
また、遺族厚生年金が長期的な支えだった時代とは違い、6年目以降の生活費をどう確保するかを別に考える必要が出てくるでしょう。
さらに、共働きを前提としたキャリア設計も欠かせません。正社員として働き続ける、資格を取って収入の幅を広げる、副業を取り入れるなど、自分の収入を維持する手段を持つことがそのまま家族の備えになります。厚生年金に加入して自分の年金を積み上げることも、将来の安心につながるのです。
