話が違うじゃないか! 72歳・運送会社元社長の怒声響くも…信頼したM&A仲介会社からは用済み扱い、「老後破産確定」の残酷すぎる着地点【税理士が解説】

話が違うじゃないか! 72歳・運送会社元社長の怒声響くも…信頼したM&A仲介会社からは用済み扱い、「老後破産確定」の残酷すぎる着地点【税理士が解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

大手物流会社の下請けや地元企業との継続取引を中心に、安定した収益を確保していた運送会社。しかし、車両更新の借入や「2024年問題」の影響で売上が減少。さらにはウクライナ戦争や中東危機の影響で利益確保が困難に…。「評価額1円」として会社を手放すことを決意したが、その後、これまでの経営者人生を真っ向から否定するような、想定外の着地が待っていた。税理士の都鍾洵(みやこ しょうじゅん)氏が事例をもとに解説する。

「連帯保証が外れるなら、それでいい」

「連帯保証を外せる可能性がある」

 

決算書を見たM&A仲介会社から言われた言葉に、田辺社長は思わず縋りついた。

 

会社の純資産はぎりぎりプラス。そのため評価額は「1円」という条件だった。

 

田辺社長としても、会社を高く売りたいという思いがなかったわけではない。しかし、それ以上に大きかったのは「連帯保証から解放されたい」という一点だった。

 

M&A仲介会社からもこう言われた。

 

「連帯保証が外れるだけでもよしとしませんか。社員の雇用も守れます。得意先にも面目が立ちます」

 

田辺社長はその言葉を信じ、仲介契約を締結した。

1,000万円の成功報酬

その契約から約2ヵ月後、仲介会社から「買い手候補が見つかった」と連絡があった。同業ではなかったが、書籍出版や広告業など、幅広く事業展開している会社だった。書籍の運搬業務があり、いくらでも仕事があるのだという。

 

(グループ会社には運ぶものがたくさんありそうだ。これはよい相手かもしれない)

 

田辺社長は心の中で小さくガッツポーズをした。

 

契約を進めるにあたり、仲介会社への成功報酬は1,000万円だった。仲介会社からは「仲介料は、一般的には譲渡額の5%程度ですが、御社の場合には譲渡額が1円のため、最低報酬1,000万円が適用されます」と言われた。

 

田辺社長は迷ったが、「これで2億円の連帯保証から解放されるなら」と思い、個人で長年積み立てていた定期預金を解約して支払う算段をした。

 

そして「連帯保証は譲渡から3か月以内に解除する」という譲渡契約を交わした。

次ページ連帯保証は取れず、会社からは資金が抜かれ…
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