「ここまで引かれるとは…」年金月17万円・70歳元サラリーマンが「年金繰下げ」で思い知る〈想定外の手取り額〉【FPが「繰下げ受給」の仕組みを解説】

「ここまで引かれるとは…」年金月17万円・70歳元サラリーマンが「年金繰下げ」で思い知る〈想定外の手取り額〉【FPが「繰下げ受給」の仕組みを解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

将来もらう年金額を大きく増やす方法の一つとして、年金の「繰下げ受給」があります。年金をもらい始めるのが通常より遅くなる代わりに、一生涯にわたって年金が増額されます。ただ、手取り額で考えると、想定より増えないということも起こり得ます。本記事では、70歳で繰下げ受給を選択した元サラリーマンのモデルケースをもとに、繰下げ受給の仕組みと手取り額をFPの服部貞昭氏が解説します。

男性の平均寿命をオーバー…手取りベースの「損益分岐点」は84歳に

繰下げ受給では、当初は、70歳受給開始の累積受給額よりも、65歳受給開始の累積受給額のほうが多くなります。

 

しかし、「損益分岐点」の年齢を過ぎると逆転し、繰下げ受給のほうがお得になります。70歳受給開始の場合の損益分岐点は、額面の金額で考えると、81歳11ヵ月です。

 

ところが、上記のモデルケースでは、手取り額で損益分岐点を計算すると、84歳2ヵ月になります。男性の平均寿命(81.09歳:2024年時点)をオーバーしています。

最大で84%の増額も…知っておきたい「繰下げ受給」の仕組み

「繰下げ受給」では、66歳~75歳の間、1ヵ月単位で、年金を受給開始するタイミングを自由に選択することができます。年金をもらい始めるのが遅れる代わりに、年金が一生増額されます。

 

年金の増額率は、繰下げ1ヵ月あたり0.7%です。1年繰下げて66歳から受給開始した場合、増額率は8.4%となります。最大10年繰下げて、75歳(※)から受給開始した場合の増額率は84%です。

 

※1952年(昭和27年)4月1日以前に生まれた方は、繰下げの上限年齢は70歳で、増額率は最大42%。

 

年金収入金額が多いほど、税金・社会保険料も多く引かれる

公的年金収入が一定金額を超えると、所得税や住民税が発生します。年金収入金額が多いほど、税額は多くなります。また、健康保険料や介護保険料も、収入金額に応じて多くなります。

 

上記のモデルケースでは、65歳受給開始の場合の、公的年金の手取り額(65~74歳)は、月額約15万1,200円、年額約181万4,400円です(税金・社会保険料は東京都新宿区、2026年3月時点の税率・保険料率で計算)。

 

一方、70歳繰下げ受給開始の場合の、公的年金の手取り額(65~74歳)は、すでに掲載したように、月額約20万4,600円、年額約245万5,200円となります。繰下げ受給による、手取り額ベースでの増額率は約35.3%です。額面ベースでの増額率42%より少ない増額率となります。

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