知らずに引き出すと「不正受給」にも…未支給年金の正しい申請手続きと期限
未支給年金の申請方法ですが、年金の支給停止の手続きと同時に行ないます。年金をもらっている人が亡くなったら、年金事務所に「年金受給者死亡届」を提出する必要があります。
期限は、国民年金は死亡日から14日以内、厚生年金は死亡日から10日以内です。
年金の支給停止の手続きをしないと、年金事務所のほうでは死亡の事実を知りませんので、引き続き故人の口座に年金が振り込まれてしまいます。これは、もらう権利のないお金ですので、返金する必要があります。
もし、それを承知で遺族が年金を引き続きもらい続けた場合、不正受給となり、悪質な場合は刑事罰もありますので、注意しましょう。
未支給年金の申請書類は死亡届とセットになっていますので、「未支給年金・未支払給付金請求書・死亡届(報告書)」という書類に記入して年金事務所に提出します。
繰り下げ待機中の死でも遺族に年金が入る仕組み
「未支給年金」の範囲は幅広く、通常の老齢年金(老齢基礎年金・老齢厚生年金)のほかに、障害年金、遺族年金、寡婦年金なども含まれます。
故人がもらう権利はあったのに、まだもらう手続きをしていなかった(請求していなかった)年金も該当します。
その中でも最も金額が大きくなりやすいのが、繰り下げ待機による未支給年金です。
繰り返し説明してきたとおり、年金は通常65歳からもらうものですが、66歳から最長75歳まで繰り下げることができます。繰り下げた期間1ヵ月当たり、年金が0・7%増額されます。もし、70歳まで繰り下げたら42%増額となります。
繰り下げは特に手続きは必要なく、65歳になった時点で年金をもらう手続きをしなければ、自動的に繰り下げをしている状態となります。そして、自分が年金をもらいたい時点で年金をもらう手続きをします。それまでの間を「繰り下げ待機期間」といいます。
この繰り下げ待機期間中に亡くなると、亡くなった人本人はまったく年金をもらえずに亡くなってしまうのですが、本人がもらうはずだった年金を遺族がもらうことができます。年金の時効は5年ですので、最長で5年前までさかのぼってもらうことができます。
ただし、未支給年金としてもらう場合は、年金は増額されません。本人が65歳からもらった場合の金額になります。なぜなら、繰り下げをする権利があるのは年金を受け取る本人だけだからです。本人が亡くなってしまうと、繰り下げることはできず、あくまでも、「本人が65歳からもらうはずだった年金」をもらうだけです。
とはいえ、かなり大きな金額になることもあります。
たとえば、本来もらうはずだった年金の月額が15万円で、70歳まで繰り下げるはずだったが、70歳になる直前で亡くなったとしましょう。すると、月額15万円を5年間分ですので、合計900万円の未支給年金をもらうことができます。まさに大金ですね。
ただ、この未支給年金は、もらった人の一時所得となり、所得税と住民税がかかります。さらに、国民健康保険や介護保険に加入している人は保険料も増えます。これらの税金と保険料は翌年に支払うことになりますので、ご注意ください。
