「まだ自分でできる」の裏側で…気づきにくい生活機能の低下
翌日、光一さんは通帳や郵便物を一つずつ確認しました。
電気代や水道代の支払いは滞ってはいませんでしたが、後払いの請求書が未開封のまま残されており、一部は支払い期限が迫っていました。
「完全に破綻しているわけではない。でも、このままでは危ない状態でした」
和子さんに改めて話を聞くと、少しずつ状況が見えてきました。
「最近、何をするのも億劫でね。あとでやろうと思って、そのまま忘れちゃうことが増えたの」
本人にとっては「少しの変化」でも、生活全体では大きな影響になっていたのです。
「まだできるつもりでいたの。でも、前みたいにはいかなくなっていたのね」
光一さんは、その言葉に強い不安を覚えます。その後、地域包括支援センターに相談し、定期的な見守りや生活支援サービスの利用を検討することになりました。
「いきなり施設という話ではありません。でも、一人で全部を抱えるのは難しいと判断しました」
和子さん自身も、最初は戸惑いを見せましたが、少しずつ受け入れ始めたといいます。
「人に頼るのは、悪いことじゃないのかもしれないね」
独居生活は、本人の自立を尊重できる一方で、変化に気づきにくいという側面もあります。「元気そうだから大丈夫」という思い込みが、対応の遅れにつながることもあります。
「玄関を開けて抱いた違和感は、気のせいじゃなかったんです」
目に見える異常ではなく、“なんとなくおかしい”という感覚。その正体は、生活を支える力が少しずつ弱まっていたことでした。
「もっと早く来ていればよかった、と思う気持ちもあります。でも、気づけただけでも良かったのかもしれません」
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