(※写真はイメージです/PIXTA)

会社を守るために差し出したはずの資金が、将来の「課税対象」になる――。中小企業経営者の間で一般的に行われている、社長から会社への資金提供。この「役員借入金(社長から見れば貸付金)」には、見落とされがちな罠が潜んでいる。特に相続の局面では、その性質が一変し、思わぬ形で遺族に税負担を生むことがある。※本連載は、THE GOLD ONLINE編集部ニュース取材班が担当する。

どの税金で払うかという視点

これらの対策はいずれも短期間で解決するのは容易でないという。一度に処理するのではなく、複数年にわたって段階的に解消していくことが現実的な対応となるだろう。だからこそ重要なのは、「どの税金で払うか」という視点だ。

 

相続税として一度に課税されるのか、それとも法人税として分散して負担するのか――この選択によって、最終的な税負担は大きく変わるという。

 

中小企業の法人税には軽減税率の特例があり、年間所得800万円以下の部分には15%(通常23.2%)が適用される。相続税の最高税率が55%に達することを踏まえると、債務免除益が800万円以下に収まるよう複数年に分けて処理した場合、法人税で負担するほうが有利になるケースもある。

 

ただし、所得が800万円を超えた部分には通常税率が適用されるため、免除額の規模や遺族の相続税率によっては必ずしも法人税が有利とはならない点に留意が必要だろう。あえて債権放棄を進めて「法人税で払う」という選択が合理的かどうかは、個別の状況に応じて税理士に確認することが望ましいだろう。

「会社を救う行為」が将来の負担になる前に

社長貸付金は、会社を守るためのやむを得ない選択として生まれることが多い。しかし、それが積み上がったまま放置されれば、相続の局面で思わぬ税負担となって跳ね返りかねない。経営状況や税務環境を踏まえながら、時間をかけて計画的に整理していく必要があるだろう。

会社を守るための決断が、将来のリスクに変わらないようにするために――。社長の貸付金は、早い段階から意識的に向き合うべきテーマであると言えそうだ。

 

 

THE GOLD ONLINE編集部ニュース取材班

 

 

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