政府の「年金があるからいいだろう」という思惑
なぜたった数日の違いでこんなにも差が生じるのか。これは、制度設計の考え方の違いによるものです。
国は、65歳以上の人については年金の受給資格があることを前提としています。そのため、「年金がもらえるのだから、失業保険は少なくていいだろう」と、雇用保険側の給付が手薄になるよう設定されているのです。
しかし現実には、年金だけで生活するのは厳しいという人も多いでしょう。特に、厚生年金の加入期間が短い人や、中小企業で長年働いてきた人は、年金額が少なくなる傾向があります。
それなのに失業保険まで手薄になると、老後の生活が一気に苦しくなるリスクが高まるのです。
最も得する「退職のタイミング」は?
年齢の計算については、関連する法律と民法の期間計算のルールから、実務上「誕生日の前日」に年齢が加算される仕組みになっています。
よって、65歳の誕生日の2日前までに退職すれば、65歳未満として基本手当(最大150日分)を受け取ることが可能です。
たとえば誕生日が4月9日の場合、4月7日までに退職すれば「65歳未満」の扱いとなり、基本手当が受け取れます。
4月8日以降に退職すると、すでに65歳扱いとなり、高年齢求職者給付金(50日分)しか受け取れなくなるため要注意です。
なお、多くの企業では、就業規則で定年退職日を「誕生日の前日」や「誕生日の属する月の末日」としているケースが一般的です。
したがって、退職を検討する際は就業規則を確認し、必要であれば半年前〜3ヵ月前までに会社に相談して、退職日を調整することを強くおすすめします。
1日ズレると最大90万円も損…退職日は慎重に決めて
65歳の誕生日を境に、失業保険の給付内容は劇的に変わります。わずか数日の違いで、最大80万円超の差が生まれるかもしれない、この事実を知っておくことは非常に重要です。
定年退職を控えている人は、誕生日の2日前までに退職できるかどうか、会社と事前に調整してみてください。知っているか知らないかで、手元に残るお金が大きく変わります。
定年後の生活設計をより安心で豊かなものにするためにも、退職を控える人は事前にしっかり準備しておきましょう。
黒瀧 泰介
税理士法人グランサーズ共同代表/公認会計士・税理士
