年収2,000万円を誇った元管理職、旅行・美食・買い物と華やかな老後。「成功者」のはずが、70代後半で「家賃8万円のアパート」に引っ越した裏側【CFPの助言】

年収2,000万円を誇った元管理職、旅行・美食・買い物と華やかな老後。「成功者」のはずが、70代後半で「家賃8万円のアパート」に引っ越した裏側【CFPの助言】
(※写真はイメージです/PIXTA)

長く高収入を得ていた人ほど、定年後に生活水準を下げられず、思わぬ資金不足に陥るケースは少なくありません。現役時代の収入や社会的地位の記憶が強く、「周囲から余裕があると思われたい」という気持ちが支出を押し上げてしまうのです。今回はトータルマネーコンサルタント・CFPの新井智美氏が、地方大手企業で管理職として年収2,000万円を得ていた男性の事例をもとに、老後資産が減少していく過程と、その背景にある心理、そして同じ状況を防ぐための注意点について解説します。

静かに、確実に減り続けていた資産

しかし、このような生活を維持するため、毎月の支出は約50万円にものぼりました。いくら年金が30万円あるといっても、毎月20万円程度は貯蓄から切り崩さなければなりません。

 

65歳の時点で4,000万円あった金融資産は、どんどん減っていきました。毎年約240万円資産を取り崩す生活。70代に入ると、医療費も少しずつ増えていきます。

 

さらに、自宅の老朽化による修繕費も必要になりました。外壁の修繕で180万円。給湯器や設備交換で60万円。臨時支出が重なり、実際の資産減少額は年間300万円近くになる年もありました。

 

使いすぎていることを認識しながらも、生活を大きく変える決断まではできませんでした。「まだ、なんとかなる」――そんな思いが、見直しを先送りにしていたのです。

自宅売却という切り札も「まさかの査定額」

75歳を迎えるころには金融資産は1,000万円台に。さらに、追い打ちをかけるように、正雄さんの企業年金が75歳から減少し、受け取れる年金額は月25万円になりました。

 

ようやく「このままでは本当に立ち行かなくなる」と危機感を強めた正雄さん夫婦。そこで、自宅を売却して生活資金に充てることを考え始めました。修繕費や固定資産税などの維持費が負担になってきたことや、子どももそれぞれ家を購入しているため、あえて家を残しておく必要はないと考えたからです。

 

自分たちの亡き後に家があることで、子どもたちに迷惑をかけたくないという思いもありました。正雄さんの家は郊外の戸建て住宅で、土地は約40坪。「最低でも2,000万円くらいにはなるだろう」と考えていましたが、査定結果は想像より厳しいものでした。

 

築40年以上の木造住宅は、建物価値がほぼゼロと評価。土地価格は約1,500万円でしたが、建物の解体費用が約250万円、仲介手数料などを差し引くと、手元に残ったのは1,200万円ほどでした。

 

 

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