年収2,000万円を誇った元管理職、旅行・美食・買い物と華やかな老後。「成功者」のはずが、70代後半で「家賃8万円のアパート」に引っ越した裏側【CFPの助言】

年収2,000万円を誇った元管理職、旅行・美食・買い物と華やかな老後。「成功者」のはずが、70代後半で「家賃8万円のアパート」に引っ越した裏側【CFPの助言】
(※写真はイメージです/PIXTA)

長く高収入を得ていた人ほど、定年後に生活水準を下げられず、思わぬ資金不足に陥るケースは少なくありません。現役時代の収入や社会的地位の記憶が強く、「周囲から余裕があると思われたい」という気持ちが支出を押し上げてしまうのです。今回はトータルマネーコンサルタント・CFPの新井智美氏が、地方大手企業で管理職として年収2,000万円を得ていた男性の事例をもとに、老後資産が減少していく過程と、その背景にある心理、そして同じ状況を防ぐための注意点について解説します。

華やかな老後の裏に「世間体」への強い執着

退職後も、夫婦の生活は非常に華やかなものでした。月に2回は友人や昔の取引先とのゴルフ。費用はプレー代や会食を含めて1回あたり約3万円。それだけで月6万円です。

 

また、夫婦で月1回は高級寿司店へ。2人で3万円ほどかかります。さらに年に1度は海外または国内の高級旅館へ旅行。旅行費用は毎回40万〜50万円ほどでした。日常の買い物も高級スーパーが中心で、食費は夫婦2人で月12万円ほど。衣類はブランド品を好み、百貨店の外商から購入することも多かったといいます。

 

美智子さんも友人とのランチを楽しみにしており、1回5,000円〜8,000円ほどのホテルレストランや有名店でのランチに月に4回ほど通っていました。

 

多くの場合、退職をして収入が減れば、それに合わせて暮らしをダウンサイズしようとするものです。しかし、正雄さん夫婦はなかなか生活を変えられませんでした。

 

その大きな理由が「世間体」でした。近所や昔の同僚などから、「田中さんは大企業の管理職だった成功者」という目で見られていると感じていたのです。

 

もしゴルフをやめれば「お金に困っているのでは?」、外食を減らせば「生活が苦しくなったのでは?」――そんなふうに思われるのではないかと、生活レベルを変える決断ができません。

 

美智子さんも同様でした。友人の多くは企業の管理職や経営者の妻たちであり、ランチの場所や服装が急に質素になると、周囲の目が気になってしまいます。長年続けてきた生活水準は、想像以上に変えにくいものだったのです。

 

 

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