帰省で目撃した驚きの光景…実家はまさかの「ゴミ屋敷」に
親子の間にできた溝が、取り返しのつかない金銭的悲劇を招いていることに気づいたのは、それから1年後のことでした。
久しぶりに実家へ帰省し、玄関の扉を開けたSさんは言葉を失いました。むっとするような悪臭とともに、廊下からリビングにかけてゴミ袋や不用品が積み上がっていたのです。
「一体どういうこと……。これでどうやって生活してるの……?」
母親は認知機能の低下と一人暮らしの寂しさから、ゴミの日を把握できなくなっていたのです。そして不安を埋めるように、近所のスーパーで毎日同じものを買い込むようになっていました。
すでに家財道具の大半は害虫の被害に遭っており、床のフローリングや畳も腐食による黒ずみが広がっていました。
異常に気づけず、失った貴重な老後資金
とても住める状態ではないため、Sさんは母親を急きょ自分の家に引き取り、実家の片付けを専門業者に依頼することにしました。
しかし、2トントラック複数台分のゴミの撤去費用に加え、害虫駆除などの特殊清掃、そして腐食した床材や壁紙の張り替えといった最低限の修繕にかかった費用の見積もりは、なんと250万円にものぼりました。
「250万円がまるごと無駄になったうえに、家族に直接しわ寄せがいってしまったことが本当にきついです」
母の老後資金800万円は、ゴミの撤去と原状回復だけで550万円にまで減少。将来いよいよ在宅介護が限界を迎えた際、老人ホームの入居費用にできたはずのお金がただの「ゴミ捨て」に消え、おまけにSさんの家族の生活ペースまで数ヵ月にわたり侵食されてしまいました。
「修繕が終われば、なんとか実家には戻れるとは思います。でも、それまでの数ヵ月、母を一人にしておくわけにはいきません。認知機能も落ちてきているので、都内の狭い自宅で引き取るしかありませんでした」
Sさんは、あのとき親とぶつかってでも、別の形の見守り方法を模索すべきだったと後悔しています。
