総資産約4億4,000万円。600坪の土地と多額の現金を保有する父親(90代)を持つFさん(60代)が直面したのは、「1億円を超える相続税」という現実でした。かつて納税のために土地を売却した苦い経験があるなか、残された資産をどう守り、どう引き継ぐのか。鍵となったのは、相続を“生前に完成させる”という発想でした。相続実務士・曽根惠子氏が実例をもとに解説します。
半年で約5,000万円の節税に成功
Fさんはこの提案を受け入れ、まず当事者であるお父様に説明し、意思確認を行いました。お父様は入院中ではあったものの、まだ会話ができる状態で、Fさんの話を理解し、「その方向で進めてほしい」と意思表示をされたのです。
その報告を受け、当社はすぐに動き出しました。相続プランを策定し、税理士と連携しながら、土地評価の専門的な減額(広大地評価の検討など)を進めるとともに、計画的な贈与や費用の前払いを実行していきました。
これらの対策はすべて、お父様ご本人の意思確認ができるうちに実行することができました。
その後、Fさんの父親は容態が回復せず、半年後に亡くなってしまったのですが、父親が決断された「相続設計」により、提案でき、対策を進めることができた結果、確実に節税の成果が得られました。
どれだけの成果があったかいうと、相続税は最初に試算した額の60%で済んだのです。半年で5,000万円程度の節税ができたことになります。
この結果を導きだすために夢相続がどのような提案をしたのかは、今回も含めて5回シリーズで解説していきます。
Fさんが言われるには、「1億以上の税金と言われたときは、現金がほとんどなくなるとがっかりしました。でも、父親も理解してくれて、生前に『完成』させるつもりで準備を始めたら、土地を守りながら納税をうんと減らすことができ、不安がなくなりました」
「相続税の罠」に陥らないために
Fさんの事例は、決して特別なものではありません。
特に、広い土地をお持ちの方、あるいは長年「無借金」で現金を残してこられた方は、Fさんと同じ「相続税の罠(わな)」に陥っている可能性が非常に高いのです。
相続は、亡くなってから考えるものではありません。
「起きる前に終わらせる」 この意識の差が、数千万円、時には1億円以上の相続税の節税となり、財産が残せることになります。
【今回の重要ポイント】
・現状維持はリスク: 何もしないと、守ってきた現金は税金で消える。
・相続設計は順番が大事: 「知る」「整理する」「決める」の3ステップ。
・費用の前払いで圧縮: 将来の支出を生前に経費化し、賢く納税額を減らす。
曽根 惠子
公認不動産コンサルティングマスター
相続対策専門士
相続実務士®
株式会社夢相続 代表取締役
「相続対策専門士」は問題解決の窓口となり、弁護士、税理士の業務につなげていく役割であり、業法に抵触する職務を担当することはありません。
株式会社夢相続代表取締役
公認不動産コンサルティングマスター
相続対策専門士
相続実務士®
株式会社夢相続 代表取締役
一般社団法人相続実務協会 代表理事
一般社団法人首都圏不動産共創協会 理事
一般社団法人不動産女性塾 理事
京都府立大学女子短期大学卒。PHP研究所勤務後、1987年に不動産コンサルティング会社を創業。土地活用提案、賃貸管理業務を行う中で相続対策事業を開始。2001年に相続対策の専門会社として夢相続を分社。相続実務士の創始者として1万4400件の相続相談に対処。弁護士、税理士、司法書士、不動産鑑定士など相続に関わる専門家と提携し、感情面、経済面、収益面に配慮した「オーダーメード相続」を提案、サポートしている。
著書86冊累計81万部、TV・ラジオ出演358回、新聞・雑誌掲載1092回、セミナー登壇677回を数える。著書に、『図解でわかる 相続発生後でも間に合う完全節税マニュアル 改訂新版』(幻冬舎メディアコンサルティング)、『図解90分でわかる!相続実務士が解決!財産を減らさない相続対策』(クロスメディア・パブリッシング)、『図解 身内が亡くなった後の手続きがすべてわかる本 2025年版 』(扶桑社)など多数。
◆相続対策専門士とは?◆
公益財団法人 不動産流通推進センター(旧 不動産流通近代化センター、retpc.jp) 認定資格。国土交通大臣の登録を受け、不動産コンサルティングを円滑に行うために必要な知識及び技能に関する試験に合格し、宅建取引士・不動産鑑定士・一級建築士の資格を有する者が「公認 不動産コンサルティングマスター」と認定され、そのなかから相続に関する専門コースを修了したものが「相続対策専門士」として認定されます。相続対策専門士は、顧客のニーズを把握し、ワンストップで解決に導くための提案を行います。なお、資格は1年ごとの更新制で、業務を通じて更新要件を満たす必要があります。
「相続対策専門士」は問題解決の窓口となり、弁護士、税理士の業務につなげていく役割であり、業法に抵触する職務を担当することはありません。
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