高市・トランプ会談など注目材料多く…ドル円160円接近?38年ぶり高値視野。日米イベント集中で“乱高下の週”か【今週の米ドル/円は157~162円と予想】

3月17日~3月23日の「FX投資戦略」ポイント

高市・トランプ会談など注目材料多く…ドル円160円接近?38年ぶり高値視野。日米イベント集中で“乱高下の週”か【今週の米ドル/円は157~162円と予想】
(※画像はイメージです/PIXTA)

中東情勢の緊迫化による原油価格上昇を理由にドル高・円安が継続された為替市場では、2000年以降最も短期的な原油価格の「上がり過ぎ」が懸念され始め、高止まりが視野に入ってきました。世界各地の中央銀行による金融政策発表や、日米首脳会談を控えた今週、米ドル/円はどのように展開するのでしょうか。マネックス証券チーフFXコンサルタント・吉田恒氏が、根拠とともに今週の米ドル/円の展開について予想します。

3月17日~3月23日の「FX投資戦略」ポイント

<ポイント>

・原油等エネルギー供給リスク続くなか、先週も円売り、米ドル買いが続き、いよいよ2024年7月の161円台というこの間の米ドル高・円安ピークも視界に入ってきた。

・原油価格上昇や米金利上昇といったこの間米ドル高・円安を正当化してきた要因には一段落の兆しもあるが、今週は日米の金融政策発表や日米首脳会談など注目イベントも目白押しで円安、円高ともに大きく振れる可能性ありそう。

・今週の米ドル/円は157~162円で予想。

先週の振り返り=2024年7月以来の水準まで米ドル高・円安広がる

原油供給リスクに弱い円売り、「世界一の産油国」の米ドル買い

先週の米ドル/円は上昇傾向が続き、この間の高値を更新し160円の大台に迫る展開となりました(図表1参照)。イランによるホルムズ海峡封鎖が続くなかで原油価格の上昇が続き、原油等のエネルギー供給リスクに弱い円が売られる一方で、「世界一の産油国」米国の米ドルが買われる流れが継続したということでしょう。

 

出所:マネックストレーダーFX
[図表1]米ドル/円の日足チャート(2025年12月~) 出所:マネックストレーダーFX

 

こういったなかで米ドル/円は2024年7月以来の高値まで上昇し、いよいよ2024年7月に記録した約38年ぶりの高値、161円台も視界に入るところとなりました(図表2参照)。ではそういった米ドル高・円安はどこまで続くのか。

 

出所:マネックストレーダーFX
[図表2]米ドル/円の月足チャート(2022年~) 出所:マネックストレーダーFX

 

このあとから述べるように、ここまで米ドル高・円安を正当化してきた要因には、実は一段落してもおかしくない兆しが出てきました。ただし、すでに述べたように、2024年7月の米ドル高値、円安値が視界に入り、また今週は日米の金融政策発表や日米首脳会談など注目材料も多いことから上下に大きく振れる可能性はあるでしょう。

 

米追加利下げ見通しほぼ消滅=利上げへ転換織り込むさらなる金利上昇は微妙!?

ここまでの米ドル高・円安は、基本的には日米金利差(米ドル優位・円劣位)拡大に沿ったものでした(図表3参照)。そしてこの金利差拡大は、おもに原油価格上昇などによるインフレ再燃への懸念を受けた米追加利下げ見通し修正に伴う米金利上昇が主導したものでした。

 

出所:LSEG社データよりマネックス証券が作成
[図表3]米ドル/円と日米2年債利回り差(2026年1月~) 出所:LSEG社データよりマネックス証券が作成

 

こういったなかで、米金融政策を反映する米2年債利回りは、政策金利のFFレート誘導目標上限の3.75%程度まで上昇しました(図表4参照)。つまり当面の追加利下げ見通しがほぼ消えたわけです。その上さらに米2年債利回りが上昇するなら、それは一転して利上げを織り込む意味になりますので、それはさすがにまだ微妙ではないでしょうか。

 

出所:LSEG社データよりマネックス証券が作成
[図表4]FFレートと米2年債利回り(2017年~) 出所:LSEG社データよりマネックス証券が作成

 

2000年以降で最高の原油価格「上がり過ぎ」=原油高一段落も近いか

また、ここまでの米ドル高・円安は、原油価格高騰が手掛かりになっていた面もあったでしょう(図表5参照)。その意味では、原油価格上昇が続くなかでは米ドル高・円安の流れが変わるのも簡単ではなさそうです。

 

出所:LSEG社データよりマネックス証券が作成
[図表5]米ドル/円とWTI(2026年1月~) 出所:LSEG社データよりマネックス証券が作成

 

ただしそんな原油価格上昇も、短期的にはさすがに「行き過ぎ」懸念がかなり強くなってきたようです。WTI(ウエスト・テキサス・インターミディエイト)の90日MA(移動平均線)かい離率は先週50%以上に拡大し、2022年のロシアによるウクライナ侵攻局面での記録を上回り、2000年以降では最高となりました(図表6参照)。別の言い方をすると、2000年以降で最も短期的「上がり過ぎ」懸念が強くなったわけなので、そろそろ原油価格上昇が一段落してもおかしくないのではないでしょうか。

 

出所:LSEG社データよりマネックス証券が作成
[図表6]WTIの90日MAかい離率(2000年~) 出所:LSEG社データよりマネックス証券が作成

 

以上のように、イラン情勢を受けた米金利上昇や原油価格上昇といった米ドル高・円安を正当化してきた要因のいくつかはさすがに一息ついてもおかしくない状況になってきたようです。ただし、すでに述べたように2024年7月の米ドル高・円安の記録も視界に入ってきたことから、理屈抜きでさらに米ドル高・円安を試す可能性はあるでしょう。

今週の注目点=日米の金融政策発表、日米首脳会談など

投機筋の米ドル売り越しが急縮小=米ドル買いは買い戻しが基本

CFTC(米商品先物取引委員会)統計の投機筋の米ドル・ポジション(非米ドル主要5通貨=円、ユーロ、英ポンド、加ドル、豪ドルのポジションで試算)は、売り越しが2月17日時点で21万枚まで拡大していましたが、3月10日時点では6万枚まで縮小しました(図表7参照)。

 

出所:LSEG社データよりマネックス証券が作成
[図表7]CFTC統計の投機筋の米ドル・ポジション(2022年~) 出所:LSEG社データよりマネックス証券が作成

 

過去の実績からすると、20万枚以上の売り越しは「行き過ぎ」懸念の強いものだったと言えそうです(図表8参照)。その意味では、最近にかけての米ドル買いは、2月末に米国等によるイラン攻撃が行われる前までの米ドル「売られすぎ」の反動の可能性が高いでしょう。別の言い方をすると、あくまで米ドルの買い戻しということだったでしょうから、手掛かりがあればさらに米ドル買いが広がる余地はありそうです。

 

出所:LSEG社データよりマネックス証券が作成
[図表8]CFTC統計の投機筋の米ドル・ポジション(2000年~) 出所:LSEG社データよりマネックス証券が作成

 

日米首脳会談での円安の扱いに注目=今週の米ドル/円は157~162円で予想

今週は、日本、米国、ユーロ圏など中央銀行による金融政策発表が集中して予定されています。また17日予定の豪州の金融政策発表では利上げが予想されています。経験的に日銀の金融政策発表は円売り仕掛けの手掛かりになり大きく変動するきっかけになることが多かっただけに今回も要注意でしょう。

 

また今回のFOMC(米連邦公開市場委員会)ではメンバーの経済見通し「ドット・チャート」が公表されることから、イラン情勢を受けて金融政策見通しがどのように変化しているかに注目が集まりそうです。

 

そして19日には高市・トランプの日米首脳会談が予定されています。基本的に貿易相手国の通貨安を好まないトランプ大統領、そして1月下旬には円安けん制で米通貨当局が「レートチェック」に動いたということもあるので、最近にかけての米ドル高・円安についてどのように取り上げられるかも注目されるところでしょう。

 

2024年7月の米ドル高・円安が視界に入るなかで、今週は注目イベントも多いことから、何かの拍子に円安、円高ともに大きく振れる可能性も十分ありそうです。以上を踏まえ、今週の米ドル/円は157~162円で予想します。

 

 

吉田 恒

マネックス証券

チーフ・FXコンサルタント兼マネックス・ユニバーシティFX学長

 

※本連載に記載された情報に関しては万全を期していますが、内容を保証するものではありません。また、本連載の内容は筆者の個人的な見解を示したものであり、筆者が所属する機関、組織、グループ等の意見を反映したものではありません。本連載の情報を利用した結果による損害、損失についても、筆者ならびに本連載制作関係者は一切の責任を負いません。投資の判断はご自身の責任でお願いいたします。

 

 

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