「100万円が106万円になった」バブル期の記憶
日本銀行のデータによると、バブル期の預金金利は5〜6%程度に達していました。銀行に預金しておくだけで資産が増える環境だったといえます。例えば100万円を預ければ、1年後には106万円程度になる計算です。
その後、日本は長く「ゼロ金利・マイナス金利」の時代を歩んできました。しかし2024年以降、潮目が変わりました。日銀の政策転換により、2026年現在のメガバンクの定期預金金利は0.2%〜0.3%程度、ネット銀行などでは0.5%を超えるケースも珍しくなくなっています。
「金利がある世界」が戻ってきたといわれますが、少額の預金者にとって、その実感は依然として乏しいのが現実です。
44万円の貯金で「利息は牛丼1杯分」
40代で独身の大槻さん(仮名)は、月収25万円、手取りでは約20万円ほどの収入で生活しています。現在の貯金額は44万円です。
ある日、銀行から利息の通知が届きました。
「金利が上がったとニュースで見て少し期待したんですが、44万円の貯金で利息(税引後)は700円ほど。牛丼1杯食べて終わりです。それ以上に電気代や食料品が値上がりしているので、貯金が増えたという感覚は全くありません」
かつては「貯金そのものが投資」といえる環境でしたが、現在ではインフレ(物価高)のスピードに金利が追いつかず、実質的な資産の価値は目減りしているといっても過言ではありません。
40代単身世帯、貯蓄額の「中央値」は100万円
国税庁『令和5年分 民間給与実態統計調査』によると、40〜44歳の平均年収は男性612万円、女性343万円。45〜49歳では男性653万円、女性343万円となっています。
また金融資産について見ると、単身世帯の平均保有額は871万円ですが、中央値は100万円とされています。平均値は一部の高所得層によって大きく引き上げられるため、多くの方の実感に近いのは中央値の方でしょう。
それでも大槻さんの貯蓄額44万円は、その中央値と比較しても半分以下の水準です。大槻さんは、自身の状況について率直な思いを語ります。
「独身でこの貯金額なので、将来への不安しかありません。今まで何をしていたんだろうという自己嫌悪は常にあります」
ただ、これまでの生活には避けられない事情もありました。奨学金の返済に加え、高齢の母親にまとまった生活援助を渡したこともあったといいます。
「自分の努力不足と言われればそれまでですが、どうにもならない出費も多かったです」
