日本人に向かない?根強い価値観が阻むFIRE
Aさんはもともとコーヒーが好きで、会社員時代から自宅で豆を挽いて淹れるのが趣味。時間ができてからは、さまざまな店を巡るようになっていました。そのうちの一軒で、店主との雑談のなかでアルバイトを探していることを知ります。
「お店で働かせてもらうのもいいな、と思ったんです」
ところが妻に相談すると、少し困った顔をされたといいます。「あそこね、この辺に住むママたちも意外と行くのよ。もっと遠くで見つけたらどう?」
そのときAさんは、ふと考えたといいます。
「FIREって、日本人向きじゃないのかもしれない」
独り身であれば、周囲の目はそれほど気にならないでしょう。しかし、家庭がある場合は話が変わります。働かない父親が家にいることは、子どもにとっても、妻にとっても、意外な説明の難しさを伴うからです。
日本ではいまだに、「大人は働くもの」「父親は会社へ行くもの」という価値観が根強く残っています。資産があれば働かなくても暮らしていける――理屈ではそうでも、社会のなかで暮らしていく以上、「何をしている人なのか」という役割を求められる場面は少なくありません。
資産があれば、働かなくても生活することはできます。ですが、人によっては「働くこと」そのものが、社会とのつながりでもあります。
FIREからわずか1年足らずで、Aさんは再び会社員として働くことも視野に仕事を探し始めているといいます。
「会社員って、意外と“便利な身分”なんだと気づきました。だって、会社員というだけで、それ以上は突っ込まれないでしょう? 再就職の話をしたら、親もすごく安心していました。でも、以前のように必死に働こうとは思っていません。せっかく資産があるんですから、ゆとりを持ちながら働けるちょうどいい仕事があればいいな、と思っています」
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