親の介護が重なる将来不安
さらに不安なのは親の介護です。親は自営業で年金が少なく資産もないといいます。
「施設に入ることになれば私が費用を出すことになると思います。在宅介護は仕事上できません」
介護費用は老後資金形成を直撃します。特別養護老人ホームでも平均的な年金水準の場合、月18万円程度の費用がかかるとされ、年金だけでは賄えないケースも少なくありません。
子どもの教育費、親の介護費、自身の老後資金――。複数の世代負担が重なると、平均収入世帯でも貯蓄余力は急速に縮小します。
節約や努力の問題ではなく、ライフイベント支出が重なりやすい構造そのものが資産形成を難しくしている側面があります。
子どもに教育を与えたいという思い、親を支えたいという責任感は自然なものです。しかしそれが貯蓄を圧迫し、次世代の負担につながる可能性もあります。
高嶋さんが十分な老後資金を準備できなければ、将来は子ども世代に負担が移る可能性もあります。
平均収入を得ていても資産形成が難しい――。そう感じる世帯は珍しくありません。
かつては「身の丈に合った生活」をすれば将来に備えられるという前提がありました。しかし教育費と介護費が家計に重なる現代では、その前提自体が揺らいでいます。
愛情と責任に支えられた家計が、同時に資産形成を難しくする――。平均世帯の現実は、そうした構造的な困難を映し出しています。
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