「人は優しい。でも…」増えていく“見えない負担”
違和感の理由は、地域の付き合いにもありました。
「班の集まりが月1回あって、草刈りもあるの」
母がぽつりと言います。
「最初は助かったよ。野菜もくれるし、声もかけてくれる」
父も頷きました。けれど「ただ、断りづらい。出ないと“どうした”と思われるしな」と続けます。
由紀子さんは気づきました。この暮らしは“孤独”ではない。けれど両親の生活は、余白のない形で回り始めている。
帰り際、由紀子さんは両親に尋ねました。
「ねえ、東京にいたときより、楽?」
母は少し迷って、「気持ちは楽。でも、暮らしは…思ったよりギリギリ」と答えました。
父はいつもの調子で「やっていけるさ。年金の範囲でな」と言うものの、その声には張りがありませんでした。
住まい選びは、憧れだけでは成り立ちません。大切なのは、暮らし始めたあとに毎月どんな費用が加わり、それがどのペースで増えていくかという現実です。
古民家の暮らしそのものが問題なのではありません。想定していなかった修繕費、暖房費、移動費、地域の付き合いに伴う支出――そうしたコストが年金生活の余白を静かに削っていく。由紀子さんが感じた違和感の正体は、そこにありました。
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