熟年離婚は他人事ではない
とはいえ、K介さんが不安になったのも無理はありません。実際、熟年離婚は一定数存在しています。
厚生労働省の『令和6年(2024)人口動態統計(確定数)の概況』によると、離婚件数全体は減少傾向にあるものの、同居期間20年以上の夫婦の離婚は3万8,756件で、離婚全体の約21.5%を占めています。およそ5件に1件が“熟年離婚”という計算になります。
最後にチクリ、妻からの言葉
「でもね、“何を今さら”って思っているのも事実なの」
R子さんはそう打ち明けました。
「子どもが小さい頃は、食事の準備から寝かしつけ、塾の送迎もほぼ私。正直、私も働いているのになんで私だけって思っちゃったこともある。でもあなたが忙しいのも分かっていたし、人のせいにはしたくなかった。今ほど社会の理解もなかったしね」
だからこそ彼女は考えたといいます。
どうしたら、自分らしく人生を送れるのか。
仕事を続け、友人と会い、海外にも出る。“家庭の外”に自分の居場所を持つことで、バランスを取ってきたのです。
「そうしているうちに、いつの間にか“一人上手”に磨きがかかっちゃったのよ」
その言葉は冗談めいていましたが、そこには長年の積み重ねがにじんでいました。離婚したいわけではない。けれど、「これからは全部一緒」は違う、という意思表示でもあったのです。
改めて考えた「第二の人生」の意味
R子さんにとっての「第二の人生」は、「夫から離れる」という意味ではなく、「自分を中心に生きる」ということでした。
一方でK介さんは、子育てが終わったら自然と夫婦で過ごす時間が増えるものだと思い込んでいました。しかし、妻の話を聞いて初めて、自分がどれだけ無自覚だったかに気づきます。
「そんなこともあったかも、くらいにしか思っていなかった。でも、あれは本当に失礼だったんだなと思いましたし、どこか自分は仕事さえしていればいいと思っていました。それに気づかなかったら本当に離婚されていたかもしれない」
K介さんはそう振り返ります。
夫婦でいることと、ただ同じ家にいることは違う。これから先を一緒に歩みたいのなら、まずは相手の時間や人間関係を尊重し、自分もまた自立しなければならない。
息子が巣立つ春。それは“熟年離婚の入り口”ではなく、お互いが一人の大人として向き合い直す、第二のスタート地点なのかもしれません。
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