売上に対して「経費が異様に多い」会社はどういう状態か?

今回は、売上に対して「経費が異様に多い」会社はどういう状態かを見ていきます。※本連載は、毎年多くの簿記検定合格者を輩出する簿記の教室「メイプル」の代表、南伸一氏の著書『オールカラー“ギモン”から逆引き! 決算書の読み方』(西東社)の中から一部を抜粋し、決算書に対するよくある疑問点を題材に、会社の実像を見抜く方法をご紹介します。

売上がなくても発生する「販売費及び一般管理費」

Q:「経費」が異様に多いのはどういう状態なの?

 

ふつう会社を立ち上げて1年くらいは、売上がなかなか増えず経営は厳しいものです。売上が少なければ売上原価もそれに比例して少なくなるため、売上総利益はマイナスになることはありません。

 

しかし、実質的な経費といえる給料や家賃の支払いといった「販売費及び一般管理費」は、売上があろうがなかろうが一定の額で発生するので、「売上総利益」よりも「販売費及び一般管理費」が大きくなれば、「営業利益」は上の損益計算書のようにマイナスになってしまいます。

 

もしも、会社を立ち上げたばかりであるならば、創業から2年、3年と年月を経ることで売上が増加し、売上に占める経費が多すぎるという状態は自ずと改善していきます。

 

しかし、会社立ち上げ時ではないにもかかわらず、損益計算書がこのような状況になっていたら要注意です。儲けるしくみができていない、あるいはしくみが崩れてしまっていることが考えられます。いずれにしても、すでに会社の体をなしていないわけで、この状態が数年続けば倒産する可能性が高いです。

異常な状況が続いているのは、何年かを確認

取引先の決算書で、売上に占める経費が異常に多い状況になっていたら、すぐに過去数年分の決算書を取り寄せて、何年この状況が続いているのかを確認すべきです。同時に、最新の貸借対照表から現金やすぐに換金できる資産を調べて、その会社がどのくらいの期間までもつかを判断しましょう。

 

<経費が大きくなるおもな原因>

経費で一番大きな比重を占めるのは一般的に給料である。売上を獲得するには従業員の活躍は不可欠だが、売上と給料のバランスをうまく保つことが重要となる。

 

<業種別・売上高に対する販管費の割合>

経費である「販売費及び一般管理費」(販管費)の売上高に占める平均的な割合は、業種で異なる。

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    簿記の教室「メイプル」 代表

    大手監査法人において企業監査の実務経験を経たのち、1997年に簿記の教室「メイプル」を開校。自らも講師として教鞭をふるい、首都圏にて教室を複数展開。初心者にもわかりやすい講義が好評を博し、毎年、多くの簿記検定合格者を輩出している。著書に『絵でみる簿記入門』(日本能率協会マネジメントセンター)、『超スピード合格! 日商簿記3級テキスト&問題集』(成美堂出版)など多数。

    著者紹介

    連載ギモンから逆引き!決算書の読み方~利益・資産・負債編

    本連載は、2016年4月15日刊行の書籍『“ギモン”から逆引き! 決算書の読み方』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

    オールカラー "ギモン"から逆引き!  決算書の読み方

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    南 伸一

    西東社

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