売上がなくても発生する「販売費及び一般管理費」
Q:「経費」が異様に多いのはどういう状態なの?
ふつう会社を立ち上げて1年くらいは、売上がなかなか増えず経営は厳しいものです。売上が少なければ売上原価もそれに比例して少なくなるため、売上総利益はマイナスになることはありません。
しかし、実質的な経費といえる給料や家賃の支払いといった「販売費及び一般管理費」は、売上があろうがなかろうが一定の額で発生するので、「売上総利益」よりも「販売費及び一般管理費」が大きくなれば、「営業利益」は上の損益計算書のようにマイナスになってしまいます。
もしも、会社を立ち上げたばかりであるならば、創業から2年、3年と年月を経ることで売上が増加し、売上に占める経費が多すぎるという状態は自ずと改善していきます。
しかし、会社立ち上げ時ではないにもかかわらず、損益計算書がこのような状況になっていたら要注意です。儲けるしくみができていない、あるいはしくみが崩れてしまっていることが考えられます。いずれにしても、すでに会社の体をなしていないわけで、この状態が数年続けば倒産する可能性が高いです。
異常な状況が続いているのは、何年かを確認
取引先の決算書で、売上に占める経費が異常に多い状況になっていたら、すぐに過去数年分の決算書を取り寄せて、何年この状況が続いているのかを確認すべきです。同時に、最新の貸借対照表から現金やすぐに換金できる資産を調べて、その会社がどのくらいの期間までもつかを判断しましょう。
<経費が大きくなるおもな原因>
経費で一番大きな比重を占めるのは一般的に給料である。売上を獲得するには従業員の活躍は不可欠だが、売上と給料のバランスをうまく保つことが重要となる。
<業種別・売上高に対する販管費の割合>
経費である「販売費及び一般管理費」(販管費)の売上高に占める平均的な割合は、業種で異なる。