今回は、固定資産の急増をどう判断するかを見ていきます。※本連載は、毎年多くの簿記検定合格者を輩出する簿記の教室「メイプル」の代表、南伸一氏の著書『オールカラー“ギモン”から逆引き! 決算書の読み方』(西東社)の中から一部を抜粋し、決算書に対するよくある疑問点を題材に、会社の実像を見抜く方法をご紹介します。

設備投資なら今後の利益が予想されるが・・・

Q:固定資産が急に増えているけど大丈夫?

 

とある得意先の会社の当期純利益が前年と比べて大きく減少していたため、収益や費用について前年のものと比較することにしました。すると、減価償却費が大きく増えており、貸借対照表について前年のものと比較したところ、固定資産が圧倒的に増えていることがわかって・・・。

 

このような場合、増加した資産が設備や機械であれば、今後、それらを用いて新製品を発売したり、既存の製品の増産が期待されます。利益が減っていたのは、設備に対する効果はすぐには出ないからです。設備投資が成功すれば、1年、2年後あたりから、今まで以上の利益をあげることになるでしょう。すなわち、売上や利益を伸ばすための投資といえるので、固定資産の増加はその会社にプラスのことと、とらえることができます。

建物や土地への投資には注意が必要

一方、増加した資産が建物や土地であれば、それらがどのようなことに使われるかを見極めなければなりません。たとえば、スーパーなどの小売業が、店舗を増やすために建物や土地を取得したのならば、設備や機械と同様、今後の利益が増えると予想されるので望ましい投資です。

 

ですが、建物や土地に対する投資が、豪華な本社ビルにするためとか、財テクのために土地を購入したというのなら注意が必要です。本社ビルを豪華にしたところで、売上や利益が大きく増えるわけではありません。それどころか、本社ビルを取得したあとに資金繰りが苦しくなって、倒産した会社は山のように存在しています。

 

また、財テクとしての土地に対する投資にしても、うまくいかなければバブル経済崩壊後のように大きな損失を抱えてしまうおそれがあり、リスクは高まります。

 

<設備投資の種類>

会社の成長に大きくかかわってくる設備投資には、次のような種類がある。

 

本連載は、2016年4月15日刊行の書籍『“ギモン”から逆引き! 決算書の読み方』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

オールカラー "ギモン"から逆引き!  決算書の読み方

オールカラー "ギモン"から逆引き!  決算書の読み方

南 伸一

西東社

ギモン=大事なポイントだから実務に役立つ! 決算書の読み方が、オールカラー&図解でまるわかり! 損益計算書、貸借対照表、キャッシュフロー計算書の気になるギモンから逆引きしてわかりやすく解説しました! トヨタやパナソ…

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