今回は、「現金預金」が少ない会社について見ていきます。※本連載は、毎年多くの簿記検定合格者を輩出する簿記の教室「メイプル」の代表、南伸一氏の著書『オールカラー“ギモン”から逆引き! 決算書の読み方』(西東社)の中から一部を抜粋し、決算書に対するよくある疑問点を題材に、会社の実像を見抜く方法をご紹介します。

手もとに現金がなければ事業の継続は難しい

Q:「現金」が極端に少ない会社だけど大丈夫?

 

会社で何より大事なのはキャッシュ、すなわち現金です。それが本業で稼いだお金であろうが、借りてきたお金であろうが、手もとに使うことのできる現金がなければ事業を行う上で必要な仕入や給料の支払いができなくなってしまうためです。残された現金が少なければ、それは資金繰りが苦しいことを意味し、すぐに“倒産”の2文字が見えてきます。

 

会社員でも、給料日が10日後なのに、財布がスッカラカンになってしまえば困りますよね。貯金もなく、金融会社の借入れもできなければ、それこそ水だけ飲んでしのぐしかありません。借金をしていて、返済日が迫っているのであれば、さらに困った事態になります。

 

現金の有無をあらわしているのが、貸借対照表の「現金預金」であり、キャッシュフロー計算書の「期末残高」です。過去の数字と比べて減少しているのであれば、注意が必要です。

健全性の担保に欠かせない「キャッシュフロー経営」

かつては、銀行がどんどん会社にお金を貸し出し、そのお金で積極的に設備投資をするのが主流の時代もありました。自ずと会社の財務面は悪化しますが、それにもまさる成長力が会社を後押ししてきたのです。しかし、時代はすっかりと様変わりし、現金を重視するキャッシュフロー経営という考え方は、会社の健全性を担保するためも欠かせなくなってきています。

 

キャッシュフロー経営とは、現金の流れであるキャッシュフローに着目した経営方法のこと。営業キャッシュフロー、投資キャッシュフロー、財務キャッシュフローを改善させるために、さまざまな面から経営を見直していきます。そして、できるだけ多くの現金が手もとに残るようにするのが最大の目的です。

 

<現金を増やす方法>

キャッシュフロー経営において、現金を増やすために改善すべきポイントは次の通りです。

 

本連載は、2016年4月15日刊行の書籍『“ギモン”から逆引き! 決算書の読み方』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

オールカラー "ギモン"から逆引き!  決算書の読み方

オールカラー "ギモン"から逆引き!  決算書の読み方

南 伸一

西東社

ギモン=大事なポイントだから実務に役立つ! 決算書の読み方が、オールカラー&図解でまるわかり! 損益計算書、貸借対照表、キャッシュフロー計算書の気になるギモンから逆引きしてわかりやすく解説しました! トヨタやパナソ…

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