余命と生活のギャップ
70代後半でも平均余命はまだ10年以上あります。資産3,200万円は月10万円取り崩しても25年以上持つ計算です。
「こんなに残るなら、もっと使えばよかった」
隆夫さんは静かに言いました。
夫婦は大きな失敗をしたわけではありません。浪費も借金もなく、資産は維持されています。それでも、失われたものがあります。
友人との交流、外出の習慣、生活の変化。節約を続けるうちに、それらが徐々に減っていきました。
「人付き合いって、やめると戻らないのね」
洋子さんはそう語ります。
老後資金は「残すもの」ではなく、「支えるもの」のはずです。しかし長寿リスクを恐れるあまり、使うこと自体が不安になる高齢者は少なくありません。不安は、資産額ではなく「見通しの不確実性」から生まれます。
老後が長いことは幸運でもあります。しかしその長さを恐れてしまうと、時間も関係も静かに縮んでいきます。
「老後がこんなに長いなんて」
その言葉の裏には、「もっと早く気づけばよかった」という思いが含まれていました。資産3,200万円は残っています。それでも夫婦は言います。
「節約しすぎた老後は、思ったより静かだったね」
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