久しぶりに見た父の台所…年金月12万円という現実
「え……これだけ?」
都内近郊に住む会社員の真理子さん(仮名・45歳)は、半年ぶりに実家を訪ね、言葉を失いました。キッチンの棚にはカップ麺とレトルト食品、冷蔵庫には缶ビールと卵、総菜パックがいくつか入っているだけでした。
一人で暮らす父・健一さん(仮名・72歳)は、年金月約12万円で生活しています。持ち家ではなく、家賃5万円台の古い賃貸アパートです。
「ちゃんと食べてるの?」
そう聞くと、父は少し笑ってこう返しました。
「食べてるよ。ほら、十分あるだろ」
健一さんは自営業の期間が長く、厚生年金の加入期間が短かったため、受給額は老齢基礎年金中心です。
「若いころは、なんとかなると思っていたんだよな。国民年金も払ったり払わなかったりでさ」
総務省『家計調査(2024年)』によると、高齢単身無職世帯の平均可処分所得は月約12.1万円で、平均消費支出はそれを上回る14.9万円。平均的にも、単身高齢者の家計は赤字になりやすく、貯蓄の取り崩しで補っている世帯が多い実態があります。
健一さんも例外ではありません。
「家賃と光熱費でだいたい7万円。残りで食費と通信費。贅沢はできないよ」
真理子さんは、食材を買って届けようと何度も考えたといいます。しかし、以前それをした時、父は露骨に不機嫌になりました。
「施しみたいなことするな」「俺は困ってない」
強い口調でそう言われ、それ以来、差し入れは控えるようになりました。
今回も、栄養バランスの話をすると、父は少し面倒くさそうに答えました。
「長生きするために我慢して食うより、好きなもん食ってるほうがいいんだよ」「これはこれで快適なんだ」
