(※写真はイメージです/PIXTA)

単身で暮らす高齢者は年々増えています。内閣府『高齢社会白書(令和7年版)』によれば、65歳以上の一人暮らしは2025年時点で男性18.3%、女性25.4%と推計されています。自由な生活を送ることのできる一方で、収入・健康・食生活の自己管理がすべて個人に委ねられるのが独居老後の現実です。家族から見れば「心配」でも、本人にとっては「気楽」。そのギャップに悩むケースも少なくありません。

久しぶりに見た父の台所…年金月12万円という現実

「え……これだけ?」

 

都内近郊に住む会社員の真理子さん(仮名・45歳)は、半年ぶりに実家を訪ね、言葉を失いました。キッチンの棚にはカップ麺とレトルト食品、冷蔵庫には缶ビールと卵、総菜パックがいくつか入っているだけでした。

 

一人で暮らす父・健一さん(仮名・72歳)は、年金月約12万円で生活しています。持ち家ではなく、家賃5万円台の古い賃貸アパートです。

 

「ちゃんと食べてるの?」

 

そう聞くと、父は少し笑ってこう返しました。

 

「食べてるよ。ほら、十分あるだろ」

 

健一さんは自営業の期間が長く、厚生年金の加入期間が短かったため、受給額は老齢基礎年金中心です。

 

「若いころは、なんとかなると思っていたんだよな。国民年金も払ったり払わなかったりでさ」

 

総務省『家計調査(2024年)』によると、高齢単身無職世帯の平均可処分所得は月約12.1万円で、平均消費支出はそれを上回る14.9万円。平均的にも、単身高齢者の家計は赤字になりやすく、貯蓄の取り崩しで補っている世帯が多い実態があります。

 

健一さんも例外ではありません。

 

「家賃と光熱費でだいたい7万円。残りで食費と通信費。贅沢はできないよ」

 

真理子さんは、食材を買って届けようと何度も考えたといいます。しかし、以前それをした時、父は露骨に不機嫌になりました。

 

「施しみたいなことするな」「俺は困ってない」

 

強い口調でそう言われ、それ以来、差し入れは控えるようになりました。

 

今回も、栄養バランスの話をすると、父は少し面倒くさそうに答えました。

 

「長生きするために我慢して食うより、好きなもん食ってるほうがいいんだよ」「これはこれで快適なんだ」

 

 \3月20日(金)-22日(日)限定配信/
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