(※写真はイメージです/PIXTA)

「墓を守るために、子どもがほしい」42歳の男性がそう語ったとき、35歳の由美さんは違和感を覚えました。お墓をどうするかについては、多くの家庭が向き合っている問題です。東京都の調査では、「墓じまいをするつもりはない」と答えた人は20.2%にとどまりました。価値観が揺れる時代、結婚の前に立ちはだかったのは“家”という存在でした。

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年収700万円、都内一人暮らし。“悪くない条件”だった

「条件は悪くなかったんです。本当に」

 

そう振り返るのは、都内で働く一条由美さん(35歳・仮名)。会社員で年収は約500万円。結婚を見据えて婚活を続けていましたが、現在は活動を休止しています。

 

きっかけは、マッチングアプリで出会った42歳の男性でした。

 

彼は都内在住の会社員で、年収は約700万円。一人暮らし。同居予定もなく、「どうしても子どもがほしい」とはっきり言う人でした。

 

由美さんは当初、それを前向きに受け止めていました。

 

「年齢的にも、子どもを望むのは自然なことだと思いましたし、家族を大事にしたい人なんだろうな、と」

 

ところが、彼の“子どもがほしい理由”を聞いたとき、空気が変わります。

「家を絶やしたくない」「墓を守っていきたい」

彼の理由はこうでした。

 

「家を絶やしたくないんだよね。墓を守っていきたいし」

 

彼からそう聞いたとき、由美さんは、最初は“由緒ある家柄”や“継ぐべき家業”があるのだろうと思いました。しかし、詳しく聞いても特別な事情があるわけではありませんでした。

 

純粋に、「家の墓を守るために子どもがほしい」という考えでした。「別に特別な家ではなくても、先祖を大事にする心は尊重したい」と思いつつ、由美さんは静かに尋ねました。

 

「墓じまいは、考えないんですか?」

 

その瞬間、彼の表情が変わりました。

 

「そんなこと考えるわけないだろう」

 

強い口調で否定され、議論にならないまま会話は終わったといいます。

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