(※写真はイメージです/PIXTA)

老後は「子どもが時々顔を見せてくれる暮らし」を思い描く人も少なくありません。しかし現実には、親子関係の距離が年齢とともに広がり、連絡が途絶えてしまうケースもあります。経済的な不安、価値観の違い、生活スタイルの変化――さまざまな要因が重なり、関係がこじれることもあるのです。年金生活に入った夫婦が、子との断絶をきっかけに住まいと暮らしを見直した事例を追います。

2人きりの生活が始まって…

引っ越し後、連絡は一度も来ていません。

 

「最初の1ヵ月は、スマホを見るのが怖かったです」

 

アパートは古く、冬は冷え込みます。風呂は追い焚き機能なし。買い物は徒歩15分。

 

「でも、固定費はかなり下がりました」

 

住居費が軽くなったことで、生活は回るようになりました。

 

「見栄を張らなくていい暮らしになったのは、正直ほっとしています」

 

国土交通省『令和5年度 高齢社会に関する意識調査(高齢期の住み替えについて)』では、高齢期に住み替えを検討・実施する人が一定数いることが示されています。理由として多いのは、

 

●維持費の軽減

●バリアフリー性

●生活費見直し

 

などで、持ち家=安心、とは限らないのが現実です。

 

「寂しいかと聞かれたら、もちろん寂しいです。でも、これが現実なんだと思っています」

 

「子どもに迷惑をかけない老後」を目標にしてきた斎藤さん。

 

「結果的に、“頼らない”ではなく、“頼れない”形になりました」

 

それでも今はこう言います。

 

「夫婦2人で食べていける。それだけで十分だと思うようにしています」

 

親子関係は、年齢を重ねても変化します。老後設計には、お金だけでなく、“人との距離感”も含めた準備が必要なのかもしれません。

 

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