日本が「為替介入」になかなか踏み切れない理由
“円以外”の通貨で米ドル離れ進む…米国の介入は限定的か
先述のように、日米当局は1月23日、1ドル=160円手前で為替介入の前段階とされる「レートチェック」を実施しました。では、この先160円を超える円安が進んだ場合、実際に米ドル売り・円買い介入へ踏み切るのでしょうか。
米国が「レートチェック」を行った局面では、ユーロ/米ドルがこれまで上値抵抗線となっていた1.18米ドルを突破し、一時1.20米ドルまで上昇しました(図表3参照)。米ドルの視点では、ユーロに対して一段安となった形です。
こうした動きを受け、ベッセント財務長官は「米国は米ドル売り介入を断じて行っていない。強い米ドル政策の立場も変わらない」と強調しました。
この一連の動きは、米ドルが円以外の通貨に対して下落リスクを抱えていることを改めて示したといえます。
日本からみると米ドル高・円安が続いているものの、トランプ政権下では「米ドル離れ」が指摘されており、円以外の通貨に対しては米ドルの地合いがかなり脆弱である可能性があります。
そう考えると、「円安阻止に向け米国が協力する」というシナリオは、よほどの局面に限られるとみるべきでしょう。実際の米ドル売り介入の可能性は低く、再度の「レートチェック」も特別な状況に限られると考えられます。
2024年まで、日本の通貨当局は単独で為替介入を行い、これが円安阻止の“最後の砦”として機能してきました。ところが、1月23日には「レートチェック」とはいえ日米協調の形をとっており、これは日本単独では円安阻止が困難という判断があった可能性があります。
“最後の砦”の為替介入がもし「失敗」に終われば、いよいよ円安に歯止めがかからなくなるリスクも高まるでしょう。
こうした点を踏まえると、この先円安が1ドル=160円を超えたとしても、日本の為替介入実施の判断は慎重になる可能性があります。

