(※写真はイメージです/PIXTA)

日本では、所得税と住民税を合わせた最高税率が55%、相続税も最高税率55%と、先進国のなかでも高い水準にあります。財源確保などを理由に「富裕層への課税強化」の声が上がるなか、最高税率を上げることははたして可能なのでしょうか。戦後日本の「税制」の歴史を踏まえたうえで、税率引き上げをめぐる議論の本質についてみていきましょう。

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「相続税」自体がない国も多い…日本の相続税率の立ち位置

ここまで、日本の「所得税」についてみてきましたが、日本の相続税の最高税率も55%と高水準です。

 

世界を見渡すと、相続税は所得税と異なり、制度そのものが存在しない国も少なくありません。アジア諸国に限っても、相続税を課しているのは日本と韓国、タイ、フィリピンに限られ、ベトナムでは相続で受け取った財産が「所得」として課税されます。

 

こうした国際比較からも、日本の相続税率は相対的に高いといえます。

 

ただし、相続税については、税率を引き上げなくとも、相続財産の評価方法を見直すことで税収を増やす余地があります。この点、所得税は同様の手法を採ることが難しいのが実情です。

 

なお、昭和25(1950)年度の「シャウプ税制」では、アメリカの経済学者カール・シャウプを団長とする「シャウプ使節団」が日本の税制の公平性を高めるために「総合課税」を主張したことから、当時の改革は所得税の税率が引き上げられたかのように受け止められがちです。

 

しかし実際には、シャウプ税制では所得税の減税が行われ、その補完措置として「富裕税」が導入されています。

 

所得税の最高税率を維持するのであれば、富裕税のような別の課税手段を組み合わせるという選択肢も、制度設計上は十分に考えられるといえます。

 

 

矢内 一好

国際課税研究所

首席研究員

 

 

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