「夫に捨てられた」はずが、離婚で高笑い
由美子さんは、夫の不貞を理由に離婚を迫ることもできました。しかし、その時点での資産額はまだ十分とはいえませんでした。分割しても、老後を安心して暮らせる水準には届きません。
「今、動くべきではない」 由美子さんはそう考え、夫を責めることも、証拠を突きつけることもせず、ただ待つことを選びました。そして、夫が60歳を迎え、定年退職をしたタイミング。退職金が支給され、預貯金や有価証券を合わせた総資産は約3,800万円に達しました。
いまだに夫の不貞は続いていました。そこで由美子さんは初めて、密かに集めていた浮気の証拠を静かに示しました。声を荒らげることも、責め立てることもありません。「知っていましたよ」 ――それだけでした。
自分から離婚を切り出すことが、不利になることもあると由美子さんは知っていました。だからこそ、これ以上夫婦でいる意味がないという現実を、淡々と示しただけです。
それから数日後、夫のほうから 「もう夫婦としてやっていく意味がない。離婚しよう」と言われました。この言葉だけを切り取れば、「頼りにしていた夫から突然離婚を言い渡された、かわいそうな妻」に見えるかもしれません。
しかし、実際は逆でした。由美子さんは、この言葉を待っていたのです。心の中では高笑いが響いていました。
