(※写真はイメージです/PIXTA)

日本企業は今、かつての「超低金利」「過剰金融支援」という恵まれた経営環境から、経営のあり方そのものを厳しく問われる「歴史的転換点」に立たされている。「金利上昇・物価高・人手不足」にあえぐだけでなく、これまで見えにくかった「経営の脆弱性」までもが白日の下にさらされることになった。多少の赤字なら生き残れた経営環境はすでになく、企業体力そのものが市場から厳しく問い直される状況となっている。そして今、日本企業の約6社に1社が「自力で立ち続けられるかどうか」を問われる局面に入っているという。※本連載は、THE GOLD ONLINE編集部ニュース取材班が担当する。

街角で進む「静かな異変」

街の飲食店、住宅街に溶け込む町工場、三代続く家族経営の商店。全国各地で、こうした中小企業の廃業や倒産が、目に見えるかたちで増えつつある。

 

原材料費の高騰やエネルギー価格の上昇、人手不足による人件費増が同時に進むなか、企業のコスト負担は急激に膨らんでいる。しかし、消費者の節約志向が強まる環境下で、価格転嫁は容易ではなく、結果として利益率は大きく圧迫され続けている。

 

とりわけ地方の中小零細企業では、わずかな売上減やコスト増が、そのまま資金繰りの悪化に直結し、経営の持続性を一気に揺るがしかねない。そこに加わったのが、日本銀行の金融政策転換による金利上昇だろう。

 

長く続いたゼロ金利環境のもとでは、借入に依存した経営であっても、利払い負担が小さければ事業継続が可能だった。しかし、「金利のある世界」では、わずかな金利上昇であっても利払い負担が重くのしかかり、企業の資金繰り余力を急速に奪いかねない。

21万社にのぼる「ゾンビ企業」

帝国データバンクが2026年1月29日に公表した最新調査によると、2024年度のゾンビ企業率は14.3%となり、推計される企業数は約21万社にのぼった。ピークだった2022年度(18.2%、約26万7,000社)からは2年連続で低下したものの、日本企業の約6社に1社が、依然として経営の持続性に課題を抱える状態にある可能性が示されたかたちだ。

 

ゾンビ企業とは、営業利益で借入金の利払いを十分に賄えない状態が3年連続で続き、かつ設立から10年以上が経過している企業を指す。短期的な赤字企業や一時的な業績悪化企業とは異なり、構造的に収益力を欠いた状態にある企業群だ。

 

ゾンビ企業数が減少した背景には、経済活動の正常化に伴う業績回復に加え、M&Aや倒産による事業再編、金融支援の段階的縮小などがあるとされる。

 

しかし、帝国データバンクは「数字の改善が、そのまま企業体質の健全化を意味するわけではない」と警鐘を鳴らす。表面的な減少とは裏腹に、企業間の体力格差や財務リスクは、むしろ拡大しつつあるというのだ。

「ゾンビ企業=倒産寸前の危険な企業」とは限らない

「ゾンビ企業」という言葉には、倒産寸前の危険な企業というイメージがつきまとうが、実態はそれほど単純ではない。

 

節税目的で意図的に利益を圧縮している企業や、将来成長を見込んだ積極投資によって、短期的に収益が悪化している企業も、この定義に含まれる。また、コロナ禍で実施された実質無利子・無担保の「ゼロゼロ融資」により、借入依存度が一時的に高まった企業も少なくない。

 

そのため、ゾンビ企業に該当するからといって、直ちに経営破綻へ向かうわけではなく、一律に「危険企業」と断じることは適切ではない。

三重苦に沈む「倒産予備軍」3万6,000社

今回の調査で、とりわけ深刻さが際立ったのが、「経常赤字」「過剰債務」「債務超過」という三重苦を同時に抱える企業群だ。

 

この条件すべてに該当する企業は、約3万6,000社。ゾンビ企業全体の17.2%に達し、帝国データバンクも、これらの企業群を倒産リスクが極めて高い「実質的な予備軍」と分析している。

 

本業で利益を出せず、借金は膨らみ、資産より負債が多い――。こうした財務構造の企業にとって、金利上昇は単なるコスト増ではなく、事業継続の可否を左右する死活問題となる。

 

これまでの金融緩和局面では、金融機関による返済猶予や追加融資によって延命が可能だったが、「金利のある世界」では、こうした従来型の延命策は次第に通用しなくなる恐れがある。

借金依存型経営を直撃する「金利上昇」

帝国データバンクの調査によると、ゾンビ企業の有利子負債は、月商の約9.5倍と、一般企業平均(約5倍)を大きく上回っている。借入依存度が高い分、金利上昇の影響も増幅されやすい構造にあるようだ。

 

仮に金利が0.5%上昇した場合、年間の利払い額は数十万円から数百万円単位で増加する可能性がある。営業利益率の低い中小企業にとって、この負担増は、収益を一気に圧迫し、資金繰りを急速に悪化させかねない。

 

帝国データバンクは、「金利上昇が本格化すれば、利払い負担の増加が収益を圧迫し、ゾンビ企業が再び増勢に転じる可能性も否定できない」と分析する。

 

さらに、円安環境の長期化や賃上げ圧力によるコスト増が重なれば、価格転嫁できない企業の脱落が加速する展開も想定される。

倒産件数1万件超が示す構造変化

2025年の国内企業倒産件数は、12年ぶりに1万件の大台を超えた。倒産企業の多くは、原材料高や人手不足といったコスト増に耐えられなくなった中小零細企業であり、企業経営を取り巻く環境が、すでに「選別の局面」に入りつつあることを示している。

 

これまで金融緩和と公的支援によって潜在化してきた倒産リスクが、金利上昇をきっかけに、徐々に表面化し始めている可能性がある。

淘汰か、新陳代謝か――日本経済の分岐点

ゾンビ企業問題は、単なる倒産予測や景気指標の1つにとどまらない。それは、日本経済が長期停滞から脱却し、生産性向上と成長軌道に乗れるかどうかを左右する、構造的な分岐点を示している。

 

低収益企業が市場から退出し、資金や人材が成長企業へと再配分されれば、経済全体の活力が高まる可能性もある。一方で、地方の中小企業が急速に姿を消せば、地域経済や雇用、生活インフラへの影響は避けられない。

 

 

THE GOLD ONLINE編集部ニュース取材班

 

 

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