前回は、相続税対策を兼ねた収益不動産購入の具体例について解説しました。今回は、不動産投資が相続税の節税効果を生む理由について見ていきます。

市場の時価と相続税評価額には大きな乖離がある!?

収益不動産が圧倒的な節税効果を生む理由をここで説明しておきましょう。日本では不動産は、土地と建物それぞれに分けて評価されます。そして、いずれも市場での時価と相続税評価額に大きな乖離があります。

 

土地については市街地では「路線価方式」といって、道路ごとに税務署が付けた価格(路 線価)をもとに、その道路に面した土地の相続税評価額が計算されます。この路線価は大 市圏ではおおむね、時価より20〜50%低くなっています。

 

建物については固定資産税評価額がそのまま相続税評価額となります。建物の固定資産税 評価額は、各市町村が規模や構造、仕様などをもとに算定しており、これも建築費に比べると40〜60%ほど低くなっています。

土地建物を人に貸すことで相続税評価額を下げる

さらに、収益不動産ならではの評価減もあります。それは、土地建物を人に貸すことによ って借地権、借家権が発生し、自由に使えないという事情を考慮したものです。 土地の場合、上に賃貸マンションやアパートが立っていると「貸家建付地」となり、更地 の場合の相続税評価額から、多くの場合、18〜21%評価額が下がります。

 

建物についても、賃貸マンションやアパートは借家となって、自宅など自分で使う場合に比べて相続税評価額(固定資産税評価額)が借家権の割合(30%)だけ下がります。

 

立地や自治体によって、時価と相続税評価額の乖離はこれよりさらに大きくなることがあ ります。例えば、東京の八丁堀に賃貸マンションを購入した千葉県市川市のAさんのケースですが、取得価格(時価)4億5000万円に対して、相続税評価額は土地建物合計で1億975万円となっており、取得費(時価)に対して76%も安くなっています。

 

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本連載は、2015年9月19日刊行の書籍『余命一カ月の相続税対策』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。
〈税務の取扱に関する留意点〉
本連載の内容は、平成27年4月現在の税制・関係法令等に基づき記載しております。今後の税制改正等により税務の取扱等が変わる場合もありますので、記載の内容につきましては将来にわたって保証されるものではないことにご注意ください。個別の税務取扱い等については、税理士や所轄税務署等にご確認されることをお勧めします。

余命一カ月の相続税対策

余命一カ月の相続税対策

福田 郁雄,木村 祐司

幻冬舎メディアコンサルティング

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