どんな物件に投資するかより「いつ投資するか」
不動産投資も他の投資と同じく、投資スタイルとしてはトレンドフォローか逆張りか、どちらかになります。
「トレンドフォロー」とは、これから成長するだろう地域や分野に投資するということです。例えば、新駅のできるエリア、オリンピックで注目を浴びるエリア、新興国の不動産などがその典型例です。ただ、トレンドが明確になり、上昇傾向にあるときに投資すると、すでにピークアウトに近いところだったというのはよくあるケースで、新駅やオリンピックといった分かりやすいテーマに飛びつくことが必ずしも正しいとはいえません。
もうひとつの「逆張り」は、そのもの本来の価値と市場における価格の乖離に着目する投資です。実際の価値は100あるのに、マーケットでは60の価格しか付いていないという状態を見抜いて投資するわけです。リーマンショックであまりにも悲観的なムードが広がったときなど、実際の価値よりかなり低い価格になっているケースがあります。そんなときに思い切って投資するスタイルです。株の世界でいえば、ウォーレン・バフェットが得意とする「バリュー投資」です。
不動産に限っていえば、実際の価値を収益還元価格や積算価格などである程度、誰でも判定できるので、逆張り投資向きだと私(福田)は考えています。
ただし、逆張りであろうとトレンドフォローであろうと、不動産投資ではタイミングが一番の肝で、どんな物件に投資するかというより、「いつ投資するか」ということが非常に重要である点は強調しておきたいと思います。
判断が難しいからこそ「分散投資」の活用を
現在は、アベノミクスの第二幕が期待できるトレンドフォローのタイミングであると考えられますが、反対にピークアウトに近いと考えることもでき、判断が難しい時期です。投資判断はいつの時期も難しいのですが、完璧にタイミングを読み切ろうとすると、なかなか投資に踏み切れません。
そんなときにお勧めなのが分散投資です。投資対象、投資エリア、投資時期を分散させて、資産価値の変動幅を少なくさせるのです。金融商品である投資信託では、通貨を円とドル、債券と株式、新興国と先進国、積み立て投資による時間の分散など、投資先と時期を分散させてリスクを減らします。
不動産においても、同様に分散させることを考えてみましょう。一番だめなのは、同じ地域に集中して、同じ種類の不動産を持つことです。居住系・ビル系・商業系、都心・郊外・地方、新築・築浅・老朽など投資対象、投資エリア、投資時期を分散させることを考えましょう。
様々な立地、タイプの不動産を所有することで視野が広がり、投資への理解が深まるメリットも期待できます。グローバル化の時代、日本国内だけでなく海外の不動産に投資することも当たり前になってきています。