前回は、不動産投資の「鉄則」について詳しく紹介しました。今回は、不動産投資を実践する上での心構えについて見ていきましょう。

何もしなければ不動産という資産は目減りしていく

投資の本質は、リスクをコントロールしつつ大きなリターンを確保し、結果的に資産を増やしていくことです。それは「言うは易く行うは難し」で、簡単なことではありません。

 

不動産の場合、何もしなければ、固定資産税や相続税によって次第に資産は目減りしていきます。これまでは、資産デフレによる目減りの影響もありました。金融資産についても、預貯金や債券での運用では利息がほとんどつかず、今後はインフレによる目減りの心配があります。

 

ではどうするか。持っている資産を活かすことで、目減りする分以上に増やすしかないのです。そこで追加投資をすることになるのですが、十分な準備と戦略を持って取り組まなければすぐ失敗してしまい、逆に資産の目減りを早めることになります。

 

「資産の目減りは嫌だ。積極的に動いて失敗したくない」という気持ちは分かりますが、リスクを負わなければリターンは得られません。結局、リスクに見合ったリターンを得るために情報を集め、投資リテラシーを高めるしかないのです。

まずは具体的な目標を持つことから始める

一番危ないのがKKDです。経験(K)と勘(K)と度胸(D)によって、成り行きで投資をしてしまうということです。投資には欲がつきものなので、ついKKDで実行しがちです。単に儲けたいという動機で投資しても、マーケットから退場を求められるだけです。そこには投資の目的と人生設計(あるいは生活設計)に合致した投資哲学が必要になってきます。


 

「できるだけたくさん儲けたい」という動機ではだめです。そうではなく、例えば、

 

「これだけの資産はどうしても承継したい」

「自由に使えるお金が月50万円は欲しい」

「5年以内に資金を3倍にして、次の事業に回したい」

 

など、できるだけ具体的な目標を持つことから始めましょう。

 

具体的な目標ができたら、その目標を達成するために必要なリターンを見定めます。そして、リターンに応じたリスクを負う覚悟を決めるのです。その覚悟ができなければ、目標を下げることも検討します。

 

「リスク許容度」という概念があります。どこまでなら損失を認めることができるかということです。実際には人によって大きな差があります。基本的には資産背景がリスク許容度に直結しますが、実際には各投資家の投資哲学がその幅を決めるのです。

 

「できるだけ安全第一」という人もいれば、「投資のドキドキワクワク感が生き甲斐だ」という方もいらっしゃいます。投資の成果が自分の生活設計やひいては人生設計にまで影響を及ぼすのですから、自分の人生設計の中にどの程度の範囲で投資を持ち込むのかを決め、それに合った投資方針を明確にしておくことをお勧めします。

 

とにかく無計画、無目標の場合、損失を被ったときに制御不能な行動に走ることもあります。実際にそうしたケースもたくさん見てきました。

 

突き詰めれば、リターンとリスクは正比例します。不動産投資でリスクを減らしたいということで、「オフィスビルなどの商業系より、賃貸マンションやアパートなどの住居系がいい」と思う人は圧倒的に多いでしょう。

 

実際、ワンテナントや少数テナントの商業系の場合、テナントが退出したときの収入減が大きく、リスクが高いと感じるものです。景気にも左右されます。逆に、商業系はリスクが高いので、うまくいけばリターンも高くなります。競争相手が少なく、利回りの大きいものが狙えるのです。資産背景に余裕があり、リスク許容度の高い人であれば投資対象となるでしょう。

本連載は、2015年9月19日刊行の書籍『余命一カ月の相続税対策』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。
〈税務の取扱に関する留意点〉
本連載の内容は、平成27年4月現在の税制・関係法令等に基づき記載しております。今後の税制改正等により税務の取扱等が変わる場合もありますので、記載の内容につきましては将来にわたって保証されるものではないことにご注意ください。個別の税務取扱い等については、税理士や所轄税務署等にご確認されることをお勧めします。

余命一カ月の相続税対策

余命一カ月の相続税対策

福田 郁雄,木村 祐司

幻冬舎メディアコンサルティング

突然やってくる“その時”、わずかな時間でできる対策は限られています。しかし、正しいノウハウをもってすれば、相続税対策は2週間程度で完了、相続税をゼロにでき、それどころか、子孫に受け継いだ資産がその後も増え続けて…

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