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時には非合理的な判断もする
建設工事の生産性向上が極めて大きな課題である以上、建設現場のIT化はますます加速していきます。設計だけでなく施工図の世界でも、空間や各部材のもつ情報をデジタルデータとして付き合わせながら、AIが判断して最適と思われる納まりを導き、図面も自動作成するようなことが現実化していくと思います。
しかし自動車のような規格品として設計された工業製品をつくるなら別ですが、先に述べたように建築はすべて一品生産です。一棟ごとに建てられる場所が違い、デザインも構造も設備もすべて異なり、使う目的も使う人も異なります。多くの“変数”があり、しかも人が設計し、人がつくるものである以上、さまざまな心理的な要素や感覚的な要素も含まれます。
施工図作成に関わる人間は、その仕事の性質上、設計されたものを現実的な建築物として立ち上げるために、設計と施工のつなぎ役となって現場で奔走します。合理性だけでは判断できないものがあるということを知っていなければなりません。時には、正解はこれだが、この設計者のデザインを世の中に送り出すためには施工上の冒険や非常識といわれるようなことにチャレンジしなければならないと決断する場面があるかもしれません。そういう非合理的な選択も、人間がつくるものである限り「あり」だと思います。
例えばスペインのバルセロナにあるガウディが設計したサグラダ・ファミリアは1882年、日本でいえば明治15年に着工してから延々と工事を続けていて、ようやく2026年にメインタワーが完成することになっています。その後さらに10年ほどをかけて3つのファサードのうちの残る1つを完成させ、2034年頃についに竣工するといわれています。実に着工から150年以上の工期をかけた工事です。
教会という特別な用途の建物ですから現代のオフィスなどの建築と同じように論じることはできませんが、サグラダ・ファミリアの工事に参加した石工をはじめとするさまざまな職人も現場監督も、完成した姿は見ることはできなくても、その建築に参加したい、なんとかこの建物を世の中に送り出す一助になりたいと願ったに違いありません。それだけの力のあるデザインだったと思います。
私も新宿パークタワーの丹下健三のデザインを知って、この建物を実際に地上に誕生させる仕事のほんの一部にでも関わることができていることをうれしく思いました。同じように、SONYCITYを担当したときも、この建物ならではの、繊細なガラスの箱にダイヤ柄に編まれた鉄骨が見えてくるデザインの美しさを知って、なんとしてもこれを現実のものにしたいと思いました。一般的な納まりでよければサッシの方立はもっと太くすることを考えると思います。当時AIがあったらOKしなかったかもしれません。しかし設計もデザインチームも施工者もサッシ業者も、みんなこれを実現しようと一生懸命でした。
施工の合理性よりデザインの意匠性をあえてみんなが選んだのです。施工図がBIMとAIの世界であったら、あの建物は実現しなかったと思います。
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