冷蔵庫は「先入れ先出し」が通用しない魔窟
「工場の資材管理に比べれば、家庭の在庫管理など造作もないと思っていました」
田中さんは当初、冷蔵庫の「見える化」に着手しました。全ての食材に購入日をラベリングし、完璧な「先入れ先出し(FIFO)」を徹底させようとしたのです。しかし、すぐに計算外の事態が起こります。
「特売で買った小松菜は早く消費すべきだが、奥にある使いかけのキャベツの劣化が想定より早い。さらには娘が持ってきた差し入れの惣菜が突発的な“特急案件”として割り込んでくる。定位置を決めても、形やサイズが不揃いな食材相手では、空間の充填率が著しく下がるんです」
さらに、賞味期限ギリギリの牛乳を飲み切ろうとした矢先に、妻が「今夜はシチューにするから」と新しい牛乳を買ってくる。理論上の「適正在庫」は、家族の気分という予測不能な変数によって、一瞬で「過剰在庫」へと姿を変えました。
「多品種少量」すぎる洗濯のオペレーション
次に田中さんが挑んだのは、洗濯工程の効率化です。
「稼働率を上げるため、バッチ処理(まとめ洗い)を提案しましたが、これが品質管理(QC)上の致命的な欠陥を招きました」
衣類には「色落ち」「デリケート素材」「汚れの酷いもの」という属性があり、これらを単一のバッチで回すことは不可能です。さらに乾燥後の工程は、まさに「究極の多品種少量生産」でした。
「タオルは平畳み、ワイシャツはハンガー、靴下はペアリング。これら数十足の“微細部品”を、家族ごとの保管場所(納入先)へ正確に仕分け、運搬し、格納する。このリードタイムを短縮しようとしましたが、結局、人の目による“官能検査”と“細かい手作業”の連続で、標準化は不可能でした」
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