【2026年不動産登記法改正】「住所変更」放置で罰則も!?…困った「親の未登記不動産」を一掃する新制度と、便利な「住所変更自動化」システムの概要

【2026年不動産登記法改正】「住所変更」放置で罰則も!?…困った「親の未登記不動産」を一掃する新制度と、便利な「住所変更自動化」システムの概要
(※写真はイメージです/PIXTA)

これまで、引っ越しによる住所変更や、結婚による氏名変更の登記は「任意」とされており、放置していても実害は少ないと考えられてきました。しかし、その結果「所有者不明土地」が全国で急増。経済的損失や公共事業の停滞を招く深刻な社会問題となっています。これを受け、国は2024年の相続登記義務化に続き、今年2026年から「住所・氏名変更登記の義務化」および、相続人を強力にサポートする「所有不動産記録証明制度」をスタートさせます。本記事では、不動産の持ち主が知っておくべき新制度の概要と、過料(罰則)を回避する救済措置について、司法書士の佐伯知哉氏が詳しく解説します。

2026年2月開始…「所有不動産記録証明制度」とは?

2026年2月2日から開始される「所有不動産記録証明制度」。これは、相続に関わる人にとって「救世主」とも言える制度になるといえます。

 

これまでの相続実務において、最も大きな壁となっていたのが「亡くなった被相続人が〈どこにどれだけの不動産を持っているのか〉を特定すること」でした。

 

従来は、親の所有不動産を把握するには、以下のようなアナログ作業が必要でした。

 

●自宅に届く「固定資産税の納税通知書」を探す

●「名寄帳(なよせちょう)」を市区町村ごとに請求する

●心当たりのある場所の登記簿を1通ずつ取得する

 

しかし、もし親が遠方に別荘を持っていたり、投資用の不動産や山林などを全国に持っていたりした場合、これらを網羅的に把握する術はありませんでした。これが「相続登記漏れ」を引き起こし、数世代を経て所有者不明土地となる最大の原因だったのです。

全国の不動産が「リスト」で丸わかり…ただし、注意点も

新制度が始まれば、法務局に対して請求を行うことで、特定の人が所有権の登記名義人となっている不動産を全国一括で抽出した「所有不動産記録証明書」を入手できるようになります。

 

これにより、相続人は被相続人が残した不動産を一目で把握でき、登記漏れによる後日のトラブルを未然に防ぐことが可能になります。

 

非常に便利な制度ですが、利用には厳格な条件があります。

 

不当な名簿利用を防ぐため、請求できるのは「所有者本人」または「その相続人」などに限られます。そして、窓口での請求の場合は「1通あたり1,600円」が必要です。

 

しかし、注意点もあります。この制度は、あくまで「氏名」と「住所」をキーにして検索を行います。そのため、「登記簿上の住所が、亡くなった当時の住所(住民票上の住所)と一致していない不動産」は、リストに抽出されない可能性が高いのです。

 

つまり「亡き親が30年前に引っ越した際の住所変更登記を怠っていた」という場合、その土地はこの便利なリストに載ってこないのです。

2026年4月開始…「住所・氏名変更登記の義務化」とは?

2026年4月1日からは、さらにインパクトの大きい「住所・氏名変更登記の義務化」が始まります。

 

これまでは相続登記のみが義務化されていましたが、今後は引っ越しによる住所変更、結婚・離婚による氏名変更も登記が義務となります。

 

期限:住所や氏名に変更があった日から2年以内の申請が必要

 

遡及適用に注意:2026年4月1日以前に住所が変わっている人も対象。改正施行から2年以内に変更登記を行わないと、罰則の対象となる可能性も

 

罰則:正当な理由なく未申請のまま放置すると、5万円以下の過料が科される対象に

 

今すぐやるべきこと:登記事項証明書の確認

 

「自分は大丈夫」と思っていても、昔購入したマンションや、親から数年前に相続した土地の住所が古いままになっているケースは多々あります。

 

まずは最寄りの法務局で自分の所有物件の「登記事項証明書」を取得し、現在の住民票の住所と一致しているかを確認してください。もし一致していなければ、2026年4月の義務化を待たず、いまのうちに変更登記をするのが賢明です。

面倒な登記が自動化!?…「スマート変更登記」の登場

「住所が変わるたびに法務局へ行くのは面倒だ」という声に応える形で導入されるのが、「スマート変更登記」という仕組みです。

 

これは、あらかじめ法務局に対して「私の情報を住民基本台帳ネットワーク(住基ネット)と連携してよい」という「検索用情報の申出」をしておくことで、法務局が職権で登記を書き換えてくれる画期的な制度です。

 

【具体的な流れ】

 

1. 照会:法務局が定期的に住基ネットへ照会し、所有者の住所や氏名の変更を自動検知します。

 

2. 確認:住所や氏名変更があった所有者に対し、法務局から「変更登記をしてもよろしいですか?」という確認のメール(または通知)が届きます。

 

3. 職権登記:本人が「OK」と返信すれば、法務局が職権で登記を書き換えます。本人が申請書を書く必要も、登録免許税を納める必要もありません。

 

【申出の方法】

 

すでに不動産を所有している人:

2025年(令和7年)4月21日から、オンラインの「かんたん登記申請」ページより申出が可能になっています。マイナンバーカードなどの電子証明書は不要で、生年月日やメールアドレス等を入力するだけで完了します。もちろん、法務局の窓口で書面提出も可能です。

 

新しく不動産を取得する人:

売買や相続で新たに登記申請をする際、申請書に検索用情報を記載する欄が設けられるため、別途手続きは不要となります。

不動産を「負動産」化させない回避策を

2026年の改正は、不動産所有者にとって「義務」が強まる厳しい内容に見えますが、同時に「スマート変更登記」のような利便性の高い仕組みも提供されます。

 

改めて、重要なポイントは以下の2点です。

 

1. 所有不動産記録証明制度(2月開始)

相続時の強力な武器になる。ただし、住所変更を放置している土地はリストから漏れるため注意。

 

2. 住所変更登記の義務化(4月開始)

2年以内の申請が必須。放置すれば5万円の過料。早めに「スマート変更登記」の申出をしておくことが、最大の防衛策となる。


不動産は大切な資産であると同時に、管理責任を伴うものです。2026年という節目を前に、一度ご自身の所有不動産の名義と住所を整理し、「負動産」化させないための準備を始めてみてはいかがでしょうか。

 

【参考情報】

本制度の詳細やオンライン申請については、法務省の「かんたん登記申請」特設ページ(https://www.touki-kyoutaku-online.moj.go.jp/mtouki/)をご確認ください。 

 

 

佐伯 知哉

司法書士法人さえき事務所 所長

 

 

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