タワマンを売っただけなのに…父から相続したマンションを即売却。〈40歳女性〉に追徴課税1,500万円が課されたワケ【相続の専門家が解説】

タワマンを売っただけなのに…父から相続したマンションを即売却。〈40歳女性〉に追徴課税1,500万円が課されたワケ【相続の専門家が解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

父の相続で都心のタワーマンションを引き継いだ絢香さん(仮名・40代)は、住む予定もなく、管理の負担を考えて相続直後に売却しました。ところがその判断が、税務署から「タワーマンション節税」と指摘され、不動産評価は否認。追徴課税は約1,500万円にのぼりました。なぜ“ごく普通の売却”が重い税務リスクにつながったのか。相続実務士・曽根惠子氏(株式会社夢相続 代表取締役)が、実際の事例をもとに、相続後の不動産売却で見落とされがちな落とし穴と、否認されないための実務ポイントを解説します。

1,500万円が“次の相続”に影を落としたワケ

 

絢香さんの問題は、ここで終わりません。すでにタワーマンション節税として否認され、追徴課税約1,500万円が確定しています。

 

さらに、父の代襲相続人として祖母の相続問題が控えており、代償金を負う可能性も高い状況です。支払う現金がなく、母親から借りるしかないという現実も重なっています。

 

「一つの判断ミスが、こんなに長く影響するとは思いませんでした」

 

相続で本当に必要なのは「売るか・持つか」ではない

相続対策で本当に大切なのは、

 

・その財産をいつ・誰が・どう使うのか
・相続税だけでなく将来の売却・二次相続まで見ているか

 

単発の節税ではなく、「相続の設計」が問われます。 

この事例が教えてくれること

・相続直後の売却は、税務署に強くチェックされる
・「節税のつもりはなかった」は通用しない
・タワーマンションは相続後の扱いまで含めて設計が必要
・相続は、終わってからでは遅い

 

相続対策は、「まだ先」ではなく、判断できる“今”しかできないことがあります。そして、一度の相続の失敗は、次の相続まで連鎖するのです。

 

税務署に否認されないための【実務ポイント】

① 相続前から「取得理由・位置づけ」を整理しておく

本来必要だったこと

・なぜそのマンションを保有していたのか
・相続後、どう扱う想定だったのか
・他の財産とのバランス

→相続全体の中での「役割」を説明できる状態

 

今回のNG
・「評価が低いから」「結果的に売っただけ」
・取得理由が“結果論”になっている

 

② 相続直前・直後の売却を避ける(または理由を明確にする)

安全ライン

・相続後すぐ売却しない
・すぐ売るなら合理的理由を残す

 

例えば、

・居住予定だったが健康・家庭事情で断念
・管理・修繕費の急増
・想定外の市場環境変化

 

→「節税以外の理由」が説明できること

③ 相続後も“一定期間”は実態を作る

税務署が見るのは

・居住したか
・賃貸に出したか
・管理・修繕・収支の実績

→「保有していた証拠」を残す

 

今回のNG

・相続 → 即売却の結果、「最初から売る前提だった」と判断されやすい

 

④ 1物件だけに極端に依存しない

否認されやすい構造

・財産の大半がタワマン1戸・他に合理的な分散がない

本来の設計

・金融資産・不動産を分散
・タワマンは一部に留める

 

→「タワマンだけが浮いていない」構成

⑤ 時価と評価額の乖離が“過度”でないこと

危険ゾーン

・相続税評価:5,000万円
・売却価格:2億円以上

→乖離が大きすぎると、理由説明がほぼ不可能

 

対策

・一棟物・中規模物件
・評価乖離が50〜70%程度に収まる設計

⑥ 相続税だけでなく「次」を見ていたか

税務署はこう考えます。

「この相続は、相続税を下げるためだけの“点の対策”ではないか?」

 

必要だった視点

・二次相続
・売却時の税金
・家族間の公平性

 

→“線と面”で設計されているか

 

⑦ 専門家の関与と記録があったか

強い証拠になるもの

・相続対策メモ
・事前シミュレーション
・税理士・コンサルの助言記録

 

→「あとから作った説明」は弱い

 

まとめ:否認されなかった可能性が高い条件

相続前から不動産の位置づけが明確

・相続直後に売却していない(または理由が明確)
・居住・賃貸などの実態がある
・財産全体の一部として組み込まれている
・評価乖離が極端でない
・専門家の設計・記録が残っている

 

→「売ったから否認されたのではない。“設計がなかった”から否認された」

他の相続案件との決定的な違い

・タワマン限定ではない
・第一段階・第二段階の明確な区分
・取得理由・保有理由・出口が説明可能
・家族・会社・税務を同時に設計

 

→同じ“不動産対策”でも、リスクの次元が違う


タワマン節税が否認された経緯

①そもそも「タワマン節税」とは

・高層階のタワーマンションは 実勢価格(時価)が非常に高い
・しかし相続税評価は 固定資産税評価額ベースで低くなる

「時価と相続税評価の大きな乖離」を利用した節税がいわゆる「タワマン節税」です。

②何が問題視されたのか

国税庁・裁判所が問題にしたポイントは一言でいうと「節税のためだけに、実態のない不動産取得をしている」という点です。

③否認された典型的なケース

次の条件が重なると、否認されやすくなりました。

・相続直前(数年以内)に購入
・自己居住や賃貸の実態がない
・高層階・超高額物件
・他に合理的な取得理由が説明できない
・明らかに「相続税だけが激減」

経済合理性がない=租税回避行為と判断。

④決定打となった判例・動き

1. 裁判所の判断(東京地裁・高裁)

・「相続税評価額をそのまま使うと不公平」
・時価で評価するのが相当と判断

2. 国税庁の対応

・個別否認だけでなく制度そのものを是正

⑤制度改正(決定的ポイント)

2024年以降、タワマンは 階層別補正率を導入、高層階ほど相続税評価が上がる

→「買えば自動的に得する節税」は完全に封じられた

⑥重要な誤解

×「不動産による節税が全部ダメ」
◯「不自然なやり方がダメ」

⑦今も有効な不動産対策との違い

タワマン節税(否認)

 正しい不動産対策

相続直前

 計画的

超高額1戸

 分散・適正価格

住まない

 賃貸・収益

説明不可

 経済合理性あり

⑧一言まとめ

「タワマン節税が否認されたのは、不動産が悪いのではなく、“やり方が露骨すぎた”からです。そこを避けた賃貸事業であれば否認されません」

⑨今回の第二段階対策が安全な理由

・タワマン限定ではない
・収益性・立地・出口重視
・評価乖離が“適正範囲”
・説明可能な取得理由がある

→否認リスクを前提に設計している

 

 

曽根 惠子
公認不動産コンサルティングマスター
相続対策専門士
相続実務士®

株式会社夢相続 代表取締役

 

「相続対策専門士」は問題解決の窓口となり、弁護士、税理士の業務につなげていく役割であり、業法に抵触する職務を担当することはありません。

 

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