(※写真はイメージです/PIXTA)

「やっとゆっくり一緒に過ごせるね」――定年を迎えた夫からそう言われて、素直に喜べない女性は、意外と少なくありません。内閣府『高齢社会白書(令和6年版)』によれば、熟年離婚(婚姻期間20年以上)は全離婚の約20%を占めており、夫婦の“すれ違い”が定年後に一気に表面化するケースも増えています。今回は、退職金2,700万円、年金見込み月25万円と経済的には恵まれていた元国家公務員の夫との“別れ”を選んだ妻が語る、「お金では埋められない孤独」をみていきます。

別居を申し出た和代さんの「その後」

和代さんはその後、別居を申し出て、娘の近くに引っ越しました。現在は週3回パートに出て、地域のサークルにも顔を出しています。

 

「収入は少ないですが、生活費は自分で払っています。夫から財産分与としていくらかもらったけど、それを使わなくても暮らせるのが、私の“自由の証”みたいなものです」

 

離婚は最終的に双方合意のもとで成立。年金は「年金分割制度」を利用し、厚生年金の一部が和代さんに振り分けられることになりました。

 

厚生労働省『厚生年金保険・国民年金事業の概況(令和4年度)』によれば、年金分割制度の利用件数は年々増加しており、老後の経済的自立の手段として定着しつつあります。

 

現在、和代さんは小さな1DKのアパートに一人暮らしています。

 

「 “やっと自分の時間を持てた”という感覚です。誰にも気を使わずに、誰かの期待に応えることもなくていい。それだけで十分です」

 

退職金2,700万円、年金月25万円――数字だけ見れば、理想的な老後です。けれど、数字では測れない「一緒に生きる」感覚のズレが、長年の夫婦関係に終止符を打ちました。

 

「私の人生、家族のために頑張ってきた部分もあると思います。でもこれからは、私のために時間を使っていいよね。そう自分に言い聞かせています」

 

熟年離婚が増える今、「経済の安定」だけでなく、「心の距離感」や「生活のペースの違い」に目を向ける必要があるのかもしれません。

 

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