(※写真はイメージです/PIXTA)

定年退職は「第二の人生の始まり」といわれますが、その変化が夫婦関係に新たな緊張をもたらすこともあります。実際、厚生労働省『令和4年 人口動態統計(確定数)』によると、離婚件数の約2割は、結婚期間が20年以上に及ぶ、いわゆる熟年離婚です。定年後、夫の生活スタイルが変わり在宅時間が増えることで、これまで表面化しなかった妻側のストレスや不満が顕在化するケースも少なくありません。

定年後、青天の霹靂…妻から突然渡された「離婚届」

都内在住の佐々木浩二さん(仮名・61歳)。大手企業に40年弱勤務し、部長職での退職を迎えました。退職金は約2,800万円、年金見込み額は月23万円。老後資金としての準備は万全だったといいます。

 

「人生設計通りでしたよ。定年後は妻とゆっくり国内旅行でもしながら、夫婦の時間を楽しもうと考えていたんです。…まさか、こんなことになるなんて」

 

その“まさか”は、定年から約1年後に訪れました。ある日、妻から突然「少し話がある」と声をかけられ、渡されたのは一枚の封筒。その中身は、まぎれもなく離婚届でした。

 

「退職してから、まさに悠々自適な日々を過ごしていたんです。これまでの仕事の疲れを癒すつもりで、朝はゆっくり起きて新聞を読んで、録画したドラマを観て…そんな日々でした」

 

一見すると穏やかな老後の生活。しかし、妻・陽子さん(仮名・60代)から見える景色は違っていました。

 

「私はずっと“家庭内の空気”が変わったと感じていました。…常に夫が家にいる。しかも、何も手伝わない。話しかけても、上の空。もう限界でした」

 

結婚して30年以上。子育ても終えた陽子さんにとって、定年後の生活は“ようやく自分の時間が持てる”はずの時期でした。しかし、生活に占める夫の割合が増えたことで、心の余白が奪われていったといいます。

 

離婚の話し合いの中で、浩二さんは何度も「これまでずっと頑張ってきた」「お前の人生は俺が支えてきた」と口にしたそうです。

 

しかし、陽子さんの反応は冷ややかなものでした。

 

「そうやって“自分が支えてきた”って思っている時点でズレているんです。私はあなたが頑張った“見返り”として存在しているわけじゃない」

 

パートとして働きながら家事も担い、感情を抑えて夫に付き従ってきた年月。その積み重ねが、“退職”という転機をきっかけに一気に溢れ出したのです。

 

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