(※写真はイメージです/PIXTA)

2026年現在、ようやく金利が上昇し始めたが、私たちが忘れてはならないのは、かつて日本や欧州で長期間実施された「マイナス金利政策」の教訓だ。実は、現金には中央銀行の極端な政策に対するブレーキとしての役割がある。預けているだけで貯金が減っていくマイナス金利下において、銀行から資金を引き出し、手元に現金で保管することは、個人の資産を目減りから守るための唯一の出口だった。国民がこの「現金化」という対抗手段を持っている限り、中央銀行は極端なマイナス金利を設定することができない。しかし、今進んでいるキャッシュレス化・脱現金の動きは、この出口を完全に塞ぎ、国民の資産を逃げ場のないデジタル管理下に置くリスクを孕んでいる。将来再び訪れるかもしれない不況や不当な資産の目減りから、自分たちの老後資金をどう守るべきか。ジェイ・L・ザゴースキー氏の著書『ザ・パワー・オブ・キャッシュ デジタル経済にこそ跳ね上がる現金の価値』(プレジデント社)より、現金の物理的な防御力を解き明かす。

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資産が少ないかゼロ、あるいは負債を抱えている世帯が増えている事実を考慮すれば、政府としては国民に貯蓄を奨励する必要がある。

 

政治家や政府の政策担当者は、この必要性をはっきりと把握している。国としても、老後に備えて非課税で民間の積立預金などに回すよう、労働者に奨励するさまざまなプログラムを用意している。

 

例えば、米国では、退職後資金積立制度のIRA(個人退職勘定)、SEP(簡易従業員年金制度)、確定拠出年金(401k)など、まさにこの目的のために作られた専門プログラムが多数ある。また、米国には、529プラン(州政府が設立する高等教育資金積立制度)など、教育目的の特別な積立制度や、医療費のための特別な積立制度もある。

 

だが、貯蓄意欲を高めるのなら、プラスの金利を提示することが最も単純明快な方法である。貯蓄方法として、最も単純で、安全性が高く、手間もかからないのは、銀行に預けることである。

 

銀行口座に預金すれば、引き出すまでは増加する。子供でも理解できる簡単な話であるが、それは金利がプラスなら、という条件が付く。現金があれば、銀行の取り付け騒ぎのとばっちりを受けにくくなる。

 

 

ジェイ・L・ザゴースキー

米ボストン大学大学院

特任准教授

 

 

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※本連載は、ジェイ・L・ザゴースキー氏著、斎藤栄一郎訳による書籍『ザ・パワー・オブ・キャッシュ デジタル経済にこそ跳ね上がる現金の価値』(プレジデント社)より一部を抜粋・再編集したものです。

ザ・パワー・オブ・キャッシュ デジタル経済にこそ跳ね上がる現金の価値

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ジェイ・L・ザゴースキー,斎藤 栄一郎

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