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脱現金が金利の基本原則を揺るがす
中央銀行は、世界の金融システムの監視役でもある。中央銀行の中でも、米連邦準備理事会(FRB)、欧州中央銀行(ECB)、日本銀行は、世界で特に有力な機関である。中央銀行が大きな力を持っているのは、政治的に保護された少数のメンバーに、金利の引き上げ、引き下げの権限が与えられているからだ。
金利は、誰も関心を寄せそうにない退屈な専門分野に見えるが、私たちの生活を大きく左右する。企業が事業を拡大するタイミングも、金利次第だ。
個人でも、家や車など大きな買い物に踏み切るかどうかとか、いつごろ引退する余裕が生まれるかなどは、金利に左右される。政府が大規模な公共事業の資金調達が現実的かどうかを判断する場合も金利が物を言う。
世界各国の経済は何千年もの間、単純な原則に基づいて運営されてきた。まず、貯蓄や支出抑制には、それなりの褒美がもらえるという原則だ。もう1つは、借り入れ(現時点で持っていない金額を消費すること)は、それなりの代償を伴うという原則である。
脱現金は、この2つの基本的な原則を覆す可能性がある。脱現金となれば、中央銀行は、マイナス金利を実施しやすくなる。マイナス金利は、節約志向の人々を痛い目に遭わせ、借金をする人々に褒美を与えることになる。
金利は「プラス」が常識だった
人類史の大部分では、貯蓄をすると、その資金に手をつけさせない代わりに利息が払われた。例えば金利が5%の条件で1万ドルを預けると、1年間手をつけない報酬として、元金の1万ドルに5%の500ドルが上乗せされる。
金利が一定になることはまずない。マクロ経済動向に応じて、上がったり下がったりする。だが、たとえ金利が低くても、預け入れの呼び水として、少ないながらも上乗せがあるのが常識だった。
金利の歴史を知るには、シドニー・ホーマーとリチャード・シラの共著『A History of INTEREST RATES』がおすすめだ。この大冊によれば、古代から現代まで世界の金利の移り変わりを丹念に描いている。数々の図表が掲載されているが、古代ローマから現代のアルゼンチンまでプラス金利を示している※。このため、マイナス金利の実施をにおわせただけで、大ニュースになるような時代だった。
※ Homer and Sylla (2005)
