専業主婦歴50年、安泰の老後に暗雲
「夫が私に隠していたのは、優しさだったのか。それとも、ただのプライドだったのか……」
そう静かに語るのは、地方在住の久保田恵子さん(仮名・73歳)です。短大卒業後、地元企業で数年働いたのち、結婚を機に退職。それから約50年、専業主婦として家族を支えてきました。
夫は2歳年上。寡黙で昔気質のタイプで、結婚当初から「男は外、女は内」という考えを崩しませんでした。中小企業勤めだった夫が、収入や貯蓄、ローンのことまで一切を管理。恵子さんは毎月決まった生活費を受け取り、細かいことを知る必要はない、そう思ってきました。
実際、セゾン自動車火災保険が実施した「夫婦間・家族間におけるお金の管理」に関する調査では、生計を共にする配偶者や家族の収入について「知らない・わからない」と答えた人は65%以上。そのうち「一部ではなく、ひとつも知らない」という人も約1割にのぼります。恵子さんは、まさにその「ひとつも知らない」側の人間でした。
決して余裕がある暮らしとはいえず、「私も働く」と言ったこともありましたが、夫は恵子さんが家にいることを望みました。だからこそ、老後も大丈夫だと漠然と思っていたのだといいます。
そんな日常が、ある日突然、終わりを告げます。夫が自宅で倒れ、そのまま帰らぬ人となったのです。死因は急性心不全。あまりにも唐突な別れでした。
