(※写真はイメージです/PIXTA)

高齢の親が入院したとき、突然始まる「きょうだい間の調整」。介護や支援の分担だけでなく、財産管理や通帳の扱いをめぐって、見えなかった本音が浮き彫りになることもあります。厚生労働省『2024(令和6)年 国民生活基礎調査』によれば、65歳以上の者がいる世帯のうち、「単独世帯」が32.7%、「夫婦のみの世帯」が31.8%を占めており、高齢者のみの世帯は全体の6割を超えています。こうした中、親の生活や財産を「誰がどう支えるか」は、多くの家族にとって避けられない課題になりつつあります。

知識がないと、財産が“他人の手”に渡ることも…

成年後見制度は、認知症や判断力の低下により財産管理が困難になった高齢者のための法的支援制度です。2023年度の統計では、後見制度の利用件数は年間4万件を超え、年々増加傾向にあります(最高裁判所『成年後見関係事件の概況』)。

 

ただし、この制度を利用するには家庭裁判所への申し立てが必要で、誰が後見人になるかは裁判所が判断します。場合によっては、きょうだいのうち一方だけが後見人に選ばれ、もう一方が財産管理に一切関与できなくなる可能性もあります。

 

「もしあのとき、妹に通帳を渡していたら、今ごろ何をされていたか分からない。結果的に父がまだ判断力のあるうちでよかったです」

 

現在、父の意向で川村さんが“任意代理人”として日常の財産管理を担い、必要な生活費や医療費の支払いなどをサポートしているといいます。

 

「妹とは、結局距離を置くことにしました。いざというとき頼れない人に、いきなり“預かる”と言われても信用できない。家族だからこそ、冷静に線引きすることが大事だと思いました」

 

高齢の親の入院や認知機能の変化をきっかけに、家族のあいだで「財産管理」の責任や役割が急に問題化するケースは珍しくありません。とくに、誰か一人が負担を背負っている家庭では、「貢献度と関与のバランス」が崩れることで、深い不信感が生まれることもあります。

 

大切なのは、“何かあってから”ではなく、“何もないうちから”の話し合いと役割分担。制度や仕組みへの正しい理解と、家族間のオープンな対話が、トラブルを未然に防ぐ鍵になるのかもしれません。

 

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