繰り下げ受給の5つのデメリット・注意点
繰り下げ受給は年金額が増えるというメリットがありますが、一方でデメリット・注意点がいくつかあります。
デメリット・注意点①税金・社会保険料が増えるので、想定するほど手取りは増えない
繰り下げ受給で年金収入が増えると、税金と社会保険料の負担も増えますので、想定するほど手取り額は増えません。
たとえば、65歳受給が月間14.4万円(年間172.8万円)の場合、75歳繰り下げで額面は約318万円に増えますが、手取りは約266万円です。額面では84%でも、手取りベースでは77%です。年金の金額にもよりますが、増える手取りは7~8割程度です。
デメリット・注意点②早く亡くなると年金をもらえない
繰り下げ受給が一番リスクとなるのが、想定より早く亡くなってしまうことです。
たとえば、75歳繰り下げをしているときに72歳で亡くなってしまったら、本人は年金を1円ももらえずに亡くなります。まだもらっていない年金(未支給年金)は遺族がもらうことができます。年金繰り下げ中は、まだ一度も年金をもらう手続き(年金請求の手続き)をしていない状態ですので、最大で5年前まで遡って年金をもらうことができます。68~72歳の5年間分はもらえますが、66、67歳の2年間分はもらえません。
一番不利なのは、75歳になって年金請求の手続きをしてすぐに亡くなった場合です。すでに年金請求の手続きをしていますので、5年間分さかのぼってもらうこともできません。
デメリット・注意点③遺族がもらう年金は増えない
年金受給者が亡くなったら、配偶者や子どもなどの生計を維持されていた遺族が、遺族年金をもらうことができます。ただ、その遺族年金は増額されず、元の金額のままです。
デメリット・注意点④加給年金をもらえない
まだ65歳に達していない配偶者がいる場合、年間約40万円の加給年金をもらえます。しかし、繰り下げ受給で待機している期間は加給年金をもらえません。
さきほどのケースだと、もし65歳未満の配偶者がいたら、本人が66、67歳でもらえた40万円×2年分=80万円分をもらえないことになります。
老齢基礎年金と老齢厚生年金の片方だけの繰り下げもできる
年金の繰り下げ受給では、「老齢基礎年金」「老齢厚生年金」の片方だけを繰り下げることが可能です。たとえば、老齢基礎年金だけ繰り下げて、老齢厚生年金は65歳からもらうことで、加給年金をもらうことができます。
繰り下げた老齢基礎年金だけ増額されます。
年金受給の得するタイミングは「想定寿命」で決まる
繰り上げ受給、繰り下げ受給について解説してきましたが、いつから年金をもらい始めると一番お得になるのかは、想定寿命で決まります。
といっても、自分が何歳まで生きるかわかる人はいませんので、「何歳まで確実に年金収入を確保したいか」と考えればよいでしょう。
想定寿命が低ければ繰り上げたほうがお得ですし、想定寿命が高ければ繰り下げたほうがお得です。
服部 貞昭
ファイナンシャル.プランナー(CFP®)
新宿.はっとりFP事務所 代表
エファタ株式会社 取締役
