(※写真はイメージです/PIXTA)

親の認知症対策として、近年注目されている「家族信託」。成年後見制度のような窮屈さがなく、信頼できる家族だけで資産を守れる仕組みが評価されています。しかし、その「家族だけで完結する」というメリットこそが、時に取り返しのつかない悲劇を生む引き金になることも。日経マネー(編)の書籍『絶対に避けたい!損する相続実例25』(日経BP)より、A子さんの事例とともに、家族信託の落とし穴を解説します。

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【解説】「信託監督人」の選定が有効…「別段の定め」も重要

司法書士クリアリーガル事務所

代表司法書士

山本 利博さん

 

家族信託は親の認知症対策としてメリットの多い制度です。類似の制度に成年後見制度がありますが、必ずしも親族が後見人に選ばれるとは限らず、財産の管理・運用・処分の範囲が制限されます。本人の財産を減らさないことに重きを置くので投資や資産の売却はできません。しかし家族信託は受託者である子供に広い裁量が与えられます。

 

ところが、自由度の高さが裏目に出ることもあります。受託者は自分名義の口座にお金があるので、自分の財産と錯覚しがちなのです。そして不動産の売却までできてしまう。しかし、あくまで管理を委託されているに過ぎず、委託者の死後はただの相続人の1人です。仮に勝手に資産を処分してしまえばトラブルまっしぐらです。

 

勝手な資産の処分を防ぐためには、信託契約で定められた通りに信託が行われているかを監督する「信託監督人」を選定するのが有効です。もちろん、受益者(今回は父)には、受託者を監視・監督する権限があるものの、高齢者の場合は機能しないことも多いです。

 

ただし信託監督人には、受益者に代わり権限を行使する代理権はなく、不正行為の差し止めや信託の内容変更への同意はできません。

 

そこで、信託契約に「別段の定め」として信託監督人に受益者の代理権を加えておけば、受託者に不正行為があった場合、その行為を差し止められます。信頼できる家族でも魔が差すことはあります。リスクヘッジのために、ぜひお勧めします。

 

信託監督人は成人なら誰でもなれますが、利害関係のない第三者が望ましいでしょう。司法書士や弁護士などに頼むのが安心です。

 

 

日経マネー(編)

 

 

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※本連載は、日経マネー(編)の書籍『絶対に避けたい!損する相続実例25』(日経BP)より一部を抜粋・再編集したものです。

絶対に避けたい!損する相続実例25

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