消費者庁が定める「価格表示ガイドライン」
■価格表示ガイドラインとは?
消費者庁は、事業者による価格表示に関する違反行為を未然防いで適正な価格表示を推進するため、「不当な価格表示についての景品表示法上の考え方」(価格表示ガイドライン)を公表しています。
価格表示ガイドラインによって、監督官庁である消費者庁が具体的にどのような価格表示を、「消費者に誤認を与え景品表示法に違反するもの」と考えているのかを垣間見ることができます。
過去の販売価格を比較対象価格とする二重価格表示について
事業者が自己の販売価格に当該販売価格よりも高い他の価格(比較対象価格)を併記して表示するものを、二重販売価格といいます。二重販売価格は、その内容が適正な場合には、消費者がお買い得な商品を選択することや事業者間での健全な価格競争の促進に役立つ良い面もあります。
しかし、二重価格表示において、販売価格の安さを強調するために用いられた比較対象価格について適正な表示が行われていない場合、消費者に販売価格が安くてお得との誤認を与えることになってしまいます。
そのため、価格表示ガイドラインは、過去の販売価格と比較して安いとの印象を与える表示を行っているが、この過去の販売価格で販売した実績がない(または不当に短い期間であった場合)比較に用いた販売価格が実際と異なっていて実際は安くない場合、景品表示法に違反する不当表示に該当するおそれがあると示しています。
見せかけの値引き販売
■不当表示に該当するおそれあり
Amazonのセール開始前に販売価格を引き上げておいて、セール開始と同時に元の価格に戻すことによって「〇〇%OFF」と大きな割引率を演出して、見せかけの値引価格で販売をしているケースでは、セール開始前という過去の販売価格を比較対象価格とする二重価格表示が行われています。しかも、問題になるようなケースにおいては、比較対象価格がどのような価格であるか具体的に表示されていません。
このような場合、消費者は、通常、同一の商品がセール開始前の販売価格でセール前の相当期間ずっと販売されており、「セール期間中だからこそ販売価格が値引き分だけ安くなっていてお買い得」と誤認することになります。
したがって、過去の販売価格を比較対象価格とする二重価格表示を行う場合に、同一の商品について最近において相当期間にわたって販売された価格とはいえない価格を比較対象価格に用いるときは、その価格がいつの時点でどの程度の期間実際に販売されていた価格であるか等その内容を正確に表示しない限り、あたかもセール期間の提供価格が通常提供している価格に比べて安いかのように消費者に対して示すことになります。
他方で、最近において相当期間にわたって販売された価格を比較対象価格に用いる場合は、
①二重価格表示を行う最近時において当該価格で販売されていた期間が当該商品が販売されていた期間の過半を占めていること
②当該価格で販売されていた期間が通算して2週間未満でないこと
③当該価格で販売された最後の日から2週間以上経過していないこと
を満たす必要があります。
(なお、①については、最近時については、セール開始時点からさかのぼる8週間について検討されるものとするが、当該商品が販売されていた期間が8週間未満の場合には、当該期間について検討されるものとするとされています。)
つまり、これらのルールを守らないと、実際よりも有利であると偽って宣伝し、消費者に「セールで販売価格が安くなっていてお買い得」と取引条件についての誤解を与えることになるので、不当表示に該当するおそれがあります。その結果、有利誤認表示を禁止している景品表示法に違反しているとして、消費者庁による取締りの対象になる可能性があります。
■セール開催の決定後に販売を開始した場合は?
ちなみに、セール開催が決定された後に販売を開始した商品の二重価格表示については、商品の販売を開始する時点で、セールにて販売する価格かすでに決まっています。つまり、セール前の価格は実績作りのものと見られます。
そのため、たとえセール前価格で販売されていた期間を正確に表示していたとしても、不当表示に該当するおそれがあります。したがって、やはり有利誤認表示を禁止している景品表示法に違反しているとして、消費者庁による取締りの対象となる可能性があります。
