落とす人より「届ける人」が圧倒的多数
警視庁から年に一度の公表される前年の「遺失物取扱状況」が今年も3月に発表されました。
2025年の遺失届の受理状況と拾得届の受理状況をみると、遺失件数は110.1万件で前年比+1.3%。一方、拾得件数は453.8万件で前年比+3.0%でした。遺失物の物品点数は229.2万点で前年比▲1.9%、拾得物の物品点数は485.1万点で前年比+2.0%でした。遺失件数の約4倍の拾得件数があり、遺失物の物品点数の1倍超の拾得物の物品点数があったわけです。落ちていたものを交番などに届けてくれる親切な人が多いことがわかるでしょう。
「主な物品の受理点数」をみると、拾得点数の内訳の多い順に、
1.証明書類
2.有価証券類
3.衣類履物類
4.電気製品類
5.財布類
6.かさ類
7.かばん類
8.携帯電話類
9.貴金属類
10.カメラ眼鏡類
となっています。このうち、遺失点数が拾得点数を上回っている品目、つまり紛失すると戻ってきにくいと思われる品目は、1の証明書類、6の財布類、8の携帯電話類の3項目です。
遺失届件数と拾得届件数はともに、新型コロナウイルス感染症の影響で2020年と2021年に大きく落ち込みました。そこから持ち直してきて2024年でどちらもコロナ前の水準を上回り、2025年では、さらに増加しています。
現金紛失は83億円、キャッシュレス化で「落とすお金」が減少傾向
2025年の遺失届現金は83.3億円で前年比▲0.6%減少。2021年60.3億円が直近のボトムで、そこから2024年の83.8億円まで3年連続で増加していましたが、2025年に減少しました。経済活動の正常化を反映していると思われます。
ただし、2024年の83.8億円もコロナ禍前の2018年84.1億円と2019年84.4億円には届いていません。キャッシュレス化が進んできている影響が大きいと考えられます。2025年遺失届現金の前年比が減少に転じたのは、日銀券の年中平均発行高前年比が2024年の▲0.9%から、2025年には▲2.0%とマイナス幅が拡大したことと整合的な数字といえるでしょう。
一方、2025年の拾得届現金は45.1億円で前年比+0.5%と微増。2024年の拾得届現金は前年比+1.8%増加だったので、増加率は鈍化しましたが、直近のボトムである2020年33.1億円から5年連続で増加してきました。こちらは、コロナ禍前の2019年38.8億円を、40.0億円になった2022年で早くも上回りました。
アベノミクス以降改善…25年間の推移にみる「日本人の正直さ」
21世紀になってからの25年間の遺失届現金に対する拾得届現金の比率は、2012年までは30%台でした。しかし、アベノミクス景気という長期間の景気拡張局面があったこともあり、2012年35.4%をボトムに2013年から2022年の57.5%まで10年連続で改善しています。その後、2023年54.5%、2024年53.6%と2年連続で低下するという、限界的にみると気懸かりな動きもみられましたが、2025年は54.5%とやや戻しました。
「東京の遺失届現金に対する拾得届現金の比率は50%超」という明るいデータが2020年以降6年連続で続いています。
※なお、本投稿は情報提供を目的としており、金融取引などを提案するものではありません。
宅森 昭吉(景気探検家・エコノミスト)
三井銀行で東京支店勤務後エコノミスト業務。さくら証券発足時にチーフエコノミスト。さくら投信投資顧問、三井住友アセットマネジメント、三井住友DSアセットマネジメントでもチーフエコノミスト。23年4月からフリー。景気探検家として活動。現在、ESPフォーキャスト調査委員会委員等。
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