先物取引が減る一方、「OTC取引」が増えている
◆金融機関同士が大口で金取引を行う「店頭(OTC)金市場」
店頭(OTC)金市場は、ロンドンを中心に、金融機関間での大規模でカスタマイズされた取引を可能にすることで、上場取引型金融商品(ETP)や先物取引を補完する役割を担っています。ほとんどの決済は現金決済か、金価格を基準価格として使用しています。
取引は通常、双務契約を通じて行われ、しばしば主要な金地金銀行が管理する未割り当て金口座が関与します。
最近のデータでは、取引所での先物取引が軟化している一方で、OTC取引量が増加していることを示しています※6。この増加は決済方法や機密保持を個別に調整することを好む中央銀行、ソブリン・ファンド、機関投資家による特注契約の利用拡大を反映しています。
OTC取引活動の拡大は金需要のグローバル化が進行中であることを裏付けるとともに、金市場の流動性が複数の取引プラットフォームに分散化しつつある現状を浮き彫りにしています。
◆金の所有権をデジタル化した資産「金裏付け型ステーブルコイン」
金裏付け型ステーブルコインは、安全な保管庫に保管された実物の金の所有権を表すデジタルトークンです。
特に仮想通貨(暗号資産)に親しみのある投資家は、オンチェーン(ブロックチェーン上で直接記録・処理される取引)として金価格に直接的にエクスポージャーを得られます。各トークンは特定の量の現物の金と連動しており、通常は金自体、もしくは現金と交換可能です。
主な利点は、これらのトークンがいつでも取引可能で、小口に分割でき、広範な暗号資産システムで容易に利用可能な点です。しかし、金を発行または保管する企業の信用が失われる場合、投資家は依然としてリスクに直面します。信頼が低下した場合、トークン価格が実際の金価値と乖離する可能性があります。
より広い意味で、金を裏付けとするステーブルコインはデジタル金融と現物の金市場との間の新たな架け橋になります。これらのトークンが現物の金によって完全に裏付けられている限り、従来は金に投資しなかった新たな投資家層を呼び込む可能性があります。
現時点では業界規模は非常に小さいものの、将来的には金地金や金ETFの伝統的な需要を補完する役割を果たすことが期待されます。