「正直、どうやってこれ以上、接していけば良いのか分からない」「日本語が十分に理解できない児童が…」文京区名門“公立”小学校教師の本音、現場で起きている異常事態

「正直、どうやってこれ以上、接していけば良いのか分からない」「日本語が十分に理解できない児童が…」文京区名門“公立”小学校教師の本音、現場で起きている異常事態
(※写真はイメージです/PIXTA)

東京都文京区では、近年「教育移住」を目的に来日する中国人家庭が急増している。区内の公立小学校では中国籍を中心に外国籍の児童が2019年比で2.4倍の467人に膨らみ、名門校として知られる「3S1K」には入学希望が殺到。大手進学塾SAPIXでも、茗荷谷校や豊洲校で生徒の1割を中国人が占めるまでになった。なぜ今、中国人家庭は日本、とりわけ文京区へと移り住むのか。日本経済新聞取材班『ニッポン華僑100万人時代 新中国勢力の台頭で激変する社会』(KADOKAWA)より、急拡大する中国人家庭の「教育移住」について、データと現場の証言をもとにみていく。※登場する取材協力者の肩書や年齢は取材当時のものです。

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東大の中国人留学生数、10年で3倍に

こうした中国の教育熱を背景に、日本の大学の最高峰、東京大学にも大きな変化が起きている。東大の中国人留学生数は2024年11月時点で3545人に達し、2014年の3倍にまで膨らんでいる。

 

全留学生の7割を中国人留学生が占め、学生数全体でみても、今や中国人が東大の学生の1割を超えるまでの存在感を放つ。

 

特に伸びが顕著なのが大学院生だ。実は中国人留学生の95%にあたる3361人は大学院生。東大の全大学院生の4人に1人を中国人が占める状況にある。なぜ東大を選んだのだろうか。文京区の本郷キャンパスを訪れ、2人の留学生に話を詳しく聞いた。

 

「中国の大学入試は基本、たった1回の高考[ガオカオ](中国の全国統一大学入試)の試験で決まるのですが、実は点数だけではなく、出生地などの条件も加味されます。例えば、北京大学でも各省ごとに入学できる学生の人数が割り当てられており、制限があります。

 

ですが、東大は外国人でもそうした不平等は一切ありません。レベル的にも(中国トップの)北京大や清華大よりも、東大に入る方が、はるかに簡単なのです。だから私も……」

 

現在、東大の大学院で学ぶ、中国人男子留学生(27)は、日本への留学を決めた理由をこう明かしてくれた。そして彼は続けた。

 

「ただ、東大を卒業しても、景気の悪い今の中国で、良い仕事が見つかるかは分かりません。中国人学生の間でやはり人気がある留学先は米国、英国、カナダ、オーストラリアなどの英語圏なのです。中でも最強の学歴はなんと言っても米国の大学・大学院です。

 

ただ今の中国の景気では、スタンフォード大学やハーバード大学を出ても、中国の公務員になるようなケースもありますから、何がいいのか、正直分かりませんね」と言って、彼は苦笑した。

欧米に比べ留学コストが安い日本

東大大学院・工学系研究科に在籍し、以前は英国の大学院でも学んだ経験がある別の中国人男子留学生(27)にも話を聞くことができた。なぜ、日本留学だったのか。

 

「英国は生活費や授業料が高くて大変でしたが、日本は留学コストが安い上に、街も住みやすく、適応しやすいと感じた」と話す。

 

安徽省安慶市の出身。2019年、中国の大学を卒業後、英国・ロンドンの大学院に入学したが、わずか数カ月後に新型コロナウイルスの感染拡大に見舞われた。「ロンドンでは多くの死者が出て恐怖を感じました」と、当時の混乱ぶりを振り返る。

 

金銭面でも厳しかったようだ。彼は言う。

 

「私の両親は中国の国有企業に勤める、いわゆる中間層です。決してリッチな家庭ではありません。そのため、私はロンドンでは貧しい生活を強いられました。コロナとお金が……。それが私が英国を離れた理由です」

 

それでも彼は、海外留学をあきらめきれず、中国に帰国後も必死で「道」を模索した。その中でも中国から距離が近く、安全とされる日本を選び、2022年に東大の大学院に入学した。

 

日本で暮らして早2年余り。英国と日本との生活を比較して、どうなのか。

 

「英国では学費が年間数千万円かかりますが、日本だと数百万円程度で済みます。日本はやっぱり世界で最も留学コストが安い国だと感じます。留学生からすると、本当に魅力的な国ですね」

 

 

日本経済新聞取材班

 

 

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※本連載は、日本経済新聞取材班による著書『ニッポン華僑100万人時代 新中国勢力の台頭で激変する社会』(KADOKAWA)より一部を抜粋・再編集したものです。

ニッポン華僑100万人時代 新中国勢力の台頭で激変する社会

ニッポン華僑100万人時代 新中国勢力の台頭で激変する社会

日本経済新聞取材班

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豊富なデータ分析・実名報道で移民問題に光を当てるノンフィクション! 第2回国際文化会館ジャーナリズム大賞受賞連載をもとに書き下ろし。 「我々は日本の中に今、広がる「中国」を可視化することにした。中国人のコミュ…

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